英仏エンジン車販売禁止へ。日本メーカーが勝ち残る条件
まずは内燃機関の向上に尽力を
フランスに続き英国政府が、2040年までにガソリン車とディーゼル車の自国での販売を禁止する方針を打ち出したことが、各国に波紋を投げかけている。ただこの問題について、日本が取るべき方向は、よく見極める必要がある。
内燃機関で動く自動車を規制する動きはドイツやインドにもある。ただフランスやドイツのような欧州諸国の環境政策は、高尚な理想論だけでなく政治的な要因があるのが普通だ。少なくとも英仏の方針で、長く世界の歴史を動かしてきた「石油と内燃機関の時代」が終焉(しゅうえん)を迎えるといった受け止め方は適当ではない。
近い将来、電気自動車(EV)が世界の自動車交通で他方式を圧倒するかどうかは、まだ分からない。というのも、純粋な意味でEVの抱える課題は解決できていないからだ。航続距離の短さや価格の高さ、電池の性能向上が難しいことなど、解決に時間がかかる見通しだ。
充電インフラの問題もある。もし何十万台ものEVが同じ時間帯に一斉に充電プラグを差し込んだ場合、電力需要の変動に大きな影響を与えることが予想される。そうした需要増を、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電所で補うようでは、地球環境問題の対策として十分ではない。
フランスの場合も、40年以降に禁止するのは内燃機関のみで動く自動車だけで、電動機を併用したハイブリッド車は販売できるようだ。つまり内燃機関を追放するわけではない。
日本の自動車メーカーは、これまで以上にEVの開発に力を入れる必要があるだろう。だからといって、内燃機関の高効率化を諦めてはならない。フォルクスワーゲンなどの排ガス不正でドイツ勢が勢いを失っている分、日本勢がエンジン性能で欧州勢を出し抜くチャンスかもしれない。
日本のリーディング産業である自動車業界は、今後も世界各国と競争していかなければならない。その時に武器となるのは、より効率に勝る自動車の技術を持っていることだ。
内燃機関で動く自動車を規制する動きはドイツやインドにもある。ただフランスやドイツのような欧州諸国の環境政策は、高尚な理想論だけでなく政治的な要因があるのが普通だ。少なくとも英仏の方針で、長く世界の歴史を動かしてきた「石油と内燃機関の時代」が終焉(しゅうえん)を迎えるといった受け止め方は適当ではない。
近い将来、電気自動車(EV)が世界の自動車交通で他方式を圧倒するかどうかは、まだ分からない。というのも、純粋な意味でEVの抱える課題は解決できていないからだ。航続距離の短さや価格の高さ、電池の性能向上が難しいことなど、解決に時間がかかる見通しだ。
充電インフラの問題もある。もし何十万台ものEVが同じ時間帯に一斉に充電プラグを差し込んだ場合、電力需要の変動に大きな影響を与えることが予想される。そうした需要増を、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電所で補うようでは、地球環境問題の対策として十分ではない。
フランスの場合も、40年以降に禁止するのは内燃機関のみで動く自動車だけで、電動機を併用したハイブリッド車は販売できるようだ。つまり内燃機関を追放するわけではない。
日本の自動車メーカーは、これまで以上にEVの開発に力を入れる必要があるだろう。だからといって、内燃機関の高効率化を諦めてはならない。フォルクスワーゲンなどの排ガス不正でドイツ勢が勢いを失っている分、日本勢がエンジン性能で欧州勢を出し抜くチャンスかもしれない。
日本のリーディング産業である自動車業界は、今後も世界各国と競争していかなければならない。その時に武器となるのは、より効率に勝る自動車の技術を持っていることだ。
日刊工業新聞2017年7月26日の記事を加筆・修正