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注目の中小製造グループ、共同受注で「ibaraki」から欧米へ

「GILT」、医療機器分野を中心に年内に商談・出展
注目の中小製造グループ、共同受注で「ibaraki」から欧米へ

GLITが16年のG7科学技術相会合に合わせ開かれた展示会に出展

 茨城県内の中小製造業10社が参加する共同受注体「GLIT(グリット)」は2017年中に、欧米での販路展開に着手する。米大手医療機器メーカーとの商談を年内に始めるほか、ドイツで11月に開かれる国際医療機器技術・部品展「COMPAMED(コンパメッド)2017」を皮切りに複数の展示会出展を計画する。医療機器分野を中心に事業拡大を目指し、グリット全体の売り上げを16年度の約2500万円から22年度に1億円まで引き上げる。

 グリットとしての欧米進出は、今回が初めて。経済産業省による委託事業「地域中核企業創出・支援事業」に採択された日立地区産業支援センター(HITS)の支援を受けて取り組む。

 事業の一環で、茨城県内中小企業への支援経験や米独企業とのネットワークを持つコンサルタントの支援を受ける予定。

 グリット中核企業で精密切削加工のエムテック(茨城県ひたちなか市)は13年、独デュッセルドルフ市に複雑形状加工技術の提案を行う現地法人「マッツテック」を設立。現地での実績などを生かし、米・独の医療機器メーカーに対し、いずれはグリットとして製品を完成品に近い状態で納めたい考え。

 米・独向け本事業は所属企業のうちエムテック、樹脂加工などの創和工業(同日立市)、治工具などの設計製造の大塚製作所(水戸市)の3社が中心となって進める。

 グリットは、茨城県北部などの中小企業が、単独では難しい大手企業や研究機関などからの注文を共同で受けられる体制を整えるため15年に発足。

 設計やデザイン、切削加工、表面処理、組み立てなど独自の強みを持つ企業が集まり、設計から製造までグリット内で製品づくりを完結できる点を武器に、県内外で受注拡大を進める。米国やドイツとの取引を軌道に乗せ、自動車など他分野での販路構築も視野に入れる。
日刊工業新聞2017年6月20日
松井里奈
松井里奈 Matsui Rina 総合事業局イベント事業部 副部長
ガイアの夜明けでも取り上げられるなど注目の中小製造業グループだ。

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