パリ協定離脱、欧米企業の反応は?「これはビジネスチャンスだ」
リコー・加藤執行役員に聞く「脱炭素が世界の産業界の大きな流れと再確認
米トランプ政権の「パリ協定」離脱決断が迫った5月中旬、リコーの加藤茂夫執行役員サステナビリティ推進本部長は米国を訪ね、欧米の環境先進企業が組織する「世界環境センター」の会議に参加した。ダウ・ケミカル、ジョンソンコントロールズなど米国企業も顔を合わせた会議で「世界の産業界が脱炭素へ向かっている」と再確認したという。2日の離脱表明は欧米企業に影響があるのか、加藤執行役員に聞いた。
―理事会やシンポジウムでは、欧米企業からどのような発言がありましたか。
「ある企業は『気候変動が深刻化すると、ビジネスモデルが崩壊する。対策を打たなければいけない』と危機感を語っていた」
「ある企業は『脱炭素社会のために新しいインフラが必要となる。これはビジネスチャンスだ』と発言した。どの企業も温暖化がリスクである一方で、機会だと当たり前のように話していた」
―実際に離脱表明がありましたが、欧米企業への影響は考えられますか。
「会議の参加企業には『温暖化対策は中長期に取り組む課題』という認識があり、方向は変わらないだろう。会議を通して脱炭素が世界の産業界の大きな流れとなっていると再確認できた」。
―リコーも事業で発生する温室効果ガスの排出をゼロにする目標を発表しました。
「当社は環境保全と利益創出を目指してきた。これは欧米企業の“リスクと機会”の考え方と一致する。2015年末にパリ協定ができ、中長期戦略で排出を減らそうと“ゼロ目標”を作った。世界も動いており、ひるまずに続けていく」
―事業で使う電気全量を再生可能エネルギーにする企業連合「RE100」に日本企業として初めて加盟しました。
「電気全量の再生エネ100%達成を目指す50年から逆算し、全拠点で再生エネの活用法を整理している。再生エネの大量導入を宣言したことで、安く再生エネ由来の電気を売りたいと提案してくれる海外電力事業者が現れた。脱炭素へ向かう世界の変化を肌で感じている」
【記者の目】
企業は二酸化炭素(CO2)の過度な排出制限に反対するのが普通だった。しかし、欧米企業は排出ゼロを意味する脱炭素を支持し、15年末にパリ協定ができた。その熱気は冷めず、離脱表明で産業界の団結が強まった。欧米企業は技術開発でも脱炭素化を加速するだろう。日本企業も追随する必要がある。
(聞き手=松木喬)
―理事会やシンポジウムでは、欧米企業からどのような発言がありましたか。
「ある企業は『気候変動が深刻化すると、ビジネスモデルが崩壊する。対策を打たなければいけない』と危機感を語っていた」
「ある企業は『脱炭素社会のために新しいインフラが必要となる。これはビジネスチャンスだ』と発言した。どの企業も温暖化がリスクである一方で、機会だと当たり前のように話していた」
―実際に離脱表明がありましたが、欧米企業への影響は考えられますか。
「会議の参加企業には『温暖化対策は中長期に取り組む課題』という認識があり、方向は変わらないだろう。会議を通して脱炭素が世界の産業界の大きな流れとなっていると再確認できた」。
―リコーも事業で発生する温室効果ガスの排出をゼロにする目標を発表しました。
「当社は環境保全と利益創出を目指してきた。これは欧米企業の“リスクと機会”の考え方と一致する。2015年末にパリ協定ができ、中長期戦略で排出を減らそうと“ゼロ目標”を作った。世界も動いており、ひるまずに続けていく」
―事業で使う電気全量を再生可能エネルギーにする企業連合「RE100」に日本企業として初めて加盟しました。
「電気全量の再生エネ100%達成を目指す50年から逆算し、全拠点で再生エネの活用法を整理している。再生エネの大量導入を宣言したことで、安く再生エネ由来の電気を売りたいと提案してくれる海外電力事業者が現れた。脱炭素へ向かう世界の変化を肌で感じている」
【記者の目】
企業は二酸化炭素(CO2)の過度な排出制限に反対するのが普通だった。しかし、欧米企業は排出ゼロを意味する脱炭素を支持し、15年末にパリ協定ができた。その熱気は冷めず、離脱表明で産業界の団結が強まった。欧米企業は技術開発でも脱炭素化を加速するだろう。日本企業も追随する必要がある。
(聞き手=松木喬)
日刊工業新聞2017年6月8日