ふわふわの羊毛から硬い樹脂ができる!?室蘭工大など開発
低コスト量産技術確立
ニッケ(日本毛織)は室蘭工業大学と共同で、羊毛から樹脂を作る技術を開発した。ケラチンたんぱく質で構成する羊毛に水を加え、加熱しながら加圧して「ウール樹脂」を製造する。試作品はポリカーボネート樹脂並みの曲げ強さがあった。今後は加工業者と連携し、低コストの量産技術を確立する。エンジニアリングプラスチックや自動車内装材、電子基板材料、徐放製剤などの用途開拓にも取り組み、3年内の事業化を目指す。
ウール樹脂の製造方法は、まず羊毛の生地に特殊な液体を浸し、樹脂化に適した特性を引き出す。次に加工生地を積層し、ホットプレスなどで100―200度Cで加熱しながら20メガ―40メガパスカルで加圧し、押し固める。羊毛成分のケラチンたんぱく質にあるアミノ酸が水と熱の作用で変性し、近くの分子と結合する架橋反応により樹脂化する仕組みだ。
今回の試作品の曲げ強さは105メガパスカルで、単純比較はできないがポリカーボネート樹脂に匹敵する。銅並みの低膨張率や200度Cに達するガラス転移温度をもつ。周囲の環境変化により、水分を吸放出する性質もある。
また、ウール樹脂は抗菌性を付与できる。ニッケと室蘭工業大学は15年からウール樹脂や羊毛への抗菌性付与に関する研究開発に着手し、羊毛が抗菌性があるレアアース(希土類)の硝酸セリウムに吸着しやすい特性を利用した。
今後、ニッケは研究開発センター産業機材開発室がウール樹脂のサンプル提供や技術提案を行い、用途開拓や製品化につなげる。
ウール樹脂の製造方法は、まず羊毛の生地に特殊な液体を浸し、樹脂化に適した特性を引き出す。次に加工生地を積層し、ホットプレスなどで100―200度Cで加熱しながら20メガ―40メガパスカルで加圧し、押し固める。羊毛成分のケラチンたんぱく質にあるアミノ酸が水と熱の作用で変性し、近くの分子と結合する架橋反応により樹脂化する仕組みだ。
今回の試作品の曲げ強さは105メガパスカルで、単純比較はできないがポリカーボネート樹脂に匹敵する。銅並みの低膨張率や200度Cに達するガラス転移温度をもつ。周囲の環境変化により、水分を吸放出する性質もある。
また、ウール樹脂は抗菌性を付与できる。ニッケと室蘭工業大学は15年からウール樹脂や羊毛への抗菌性付与に関する研究開発に着手し、羊毛が抗菌性があるレアアース(希土類)の硝酸セリウムに吸着しやすい特性を利用した。
今後、ニッケは研究開発センター産業機材開発室がウール樹脂のサンプル提供や技術提案を行い、用途開拓や製品化につなげる。
日刊工業新聞2017年6月6日