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総延長5700km、海底の津波観測網で電車や乗客を守れ!

JR東日本が防災科研が津波を早期に検知する研究をスタート
総延長5700km、海底の津波観測網で電車や乗客を守れ!

「S―net」より

 JR東日本と防災科学技術研究所(防災科研)は、津波を早期に検知し、列車を安全に運行させる研究を始める。防災科研が運営する総延長5700キロメートルの地震津波観測網「S―net」(用語参照)で検知した津波発生の情報を使う。津波発生の情報を把握し、鉄道の運行中止や乗客の避難などを迅速に判断できれば、被害を事前に防げる可能性が高まる。

 JR東日本と防災科研が1日に包括連携協定を結んだ。期間は1日から2018年3月末まで。以降は1年ごとに自動更新する。

 JR東は新幹線の防災に、地震動の初期微動(P波)を検知し、より大きな地震波(S波)が来る前に警報を発令する早期地震検知システムを採用している。だが観測点が海岸と内陸部にしかないため、海溝型地震による津波などの早期検知は難しかった。

 海底に設置されているS―netは、海で発生する地震と津波をリアルタイムに観測できる。11年3月の東日本大震災ではJR常磐線を走行中のJR貨物のコンテナ貨車などが津波で押し流されるといった被害が出た。

 津波の発生を早期検知できれば、早めに鉄道を停止させるなど、被害の軽減が期待できる。

 S―netのデータは16年7月から気象庁が津波の観測値の発表に使うなど、活用が広がっている。防災科研は今後、JR東以外の鉄道事業者をはじめ、高速道路事業者や通信会社にも地震観測網の利用を広める考えだ。
【用語】S―net=防災科研の日本海溝海底地震津波観測網。北海道沖から房総沖までの海底に設置されており、150カ所の観測点が約5700キロメートルの海底ケーブルで結ばれている。観測データはリアルタイムで地上へ伝送できる。

日刊工業新聞2017年06月02日 総合1面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
東日本大震災で被害を受けたJR東日本は、津波に対する危機感が強く、これまでにも対策を検討してきています。地震も含め、天災の予知は非常に難しいものがあると思いますが、成果がでるか、注目です。

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