UQ三姉妹の家族になるのは誰だ!
格安スマホ、家族起点に顧客拡大狙う
UQコミュニケーションズ(東京都港区、野坂章雄社長)は1日、格安スマホサービス「UQモバイル」において、家族で加入する場合に割安に利用できるサービスを始めると発表した。親回線にひも付く子回線の基本料を毎月500円割り引く。競争が激化する格安スマホ市場の中で、家族を起点に顧客の拡大につなげる。
新サービスは「UQ家族割」。8日に提供を始める。親回線と子回線ともにデータ通信と音声通話がセットになった「ぴったりプラン」か「おしゃべりプラン」に加入すると対象になる。サービスの適用により、子回線となる2回線目以降は月1480円(消費税抜き)から使える。
野坂社長は同日、都内で会見し「(家族割りを)大きく訴求していく」と意気込んだ。また、スマホの設定や操作を支援するサービス、個人情報の漏えいを防ぐサービスなどを盛り込んだ「UQあんしんパック」などの提供も8日に始める。
格安スマートフォン市場でひときわ存在感を放つブランドがある。ソフトバンクのセカンドブランド「ワイモバイル」だ。2016年にiPhone(アイフォーン)の取り扱いや月1980円(消費税抜き)から使える割引など矢継ぎ早に施策を打ち出し、スマホの販売台数を大幅に増やした。NTTドコモやau、ソフトバンクを含めたスマホ市場全体における販売台数のシェアも拡大している。
「我々はベンチマークされる側。他社を引き離すためにまい進している」。ソフトバンクでワイモバイル事業を担当する寺尾洋幸執行役員は、格安スマホ市場のけん引役を自負する。実際に多くの格安スマホ事業者は強い競合相手と認識しており、割安感を求める消費者を奪い合っている。
特にKDDI傘下で格安スマホ「UQモバイル」を展開するUQコミュニケーションズ(東京都港区)は「ワイモバイルに追いつけ追い越せで取り組んでいる」(野坂章雄社長)と対抗意識を隠さない。
ワイモバイルは格安スマホ市場において特異な存在だ。他の事業者が大手キャリアの回線を借りてサービスを展開するのに対し自社の設備で提供する。
全国には約1000店舗を構えており、販売網も潤沢。このため「他の格安スマホ事業者は(同じようなサービスで)真正面から競合しても勝ち目を見いだすのは難しい」(横田英明MM総研取締役)といった指摘が挙がる。
ただ、格安スマホ市場は拡大する過程で通信事業者以外の参入が相次いだ。ワイモバイルはそうした他業種によるサービスに警戒感を示す。特に楽天やLINEを意識している模様だ。ソフトバンクの寺尾執行役員は楽天やLINEに対し「通信事業者とは異なる独自のサービスを生かした取り組みは脅威」と胸の内を明かす。
例えば楽天は「スマホは『楽天経済圏』の入り口」(大尾嘉宏人執行役員)と位置付ける。「経済圏」では電子商取引(EC)サイト「楽天市場」などのサービスを展開している。スマホの顧客にはそうしたサービスを利用した際のポイント還元率を高めるといった独自の価値を提供している。
もちろん、ワイモバイルもそうした事業者の攻勢を黙って見ているわけではない。ヤフーサービスとの連携強化を図っており、2月にはECサイト「Yahoo!ショッピング」のポイント還元率を拡大する施策などを始めた。「今後はヤフー以外を含めた多様な連携を検討し、サービスを充実する」(寺尾執行役員)と意気込む。
ワイモバイルの存在感は、格安スマホ市場の拡大を加速する要素にもなっている。他の事業者との顧客獲得競争を含めて、その動向が今後も市場に影響を与えるのは間違いない。
(文=葭本隆太)
新サービスは「UQ家族割」。8日に提供を始める。親回線と子回線ともにデータ通信と音声通話がセットになった「ぴったりプラン」か「おしゃべりプラン」に加入すると対象になる。サービスの適用により、子回線となる2回線目以降は月1480円(消費税抜き)から使える。
野坂社長は同日、都内で会見し「(家族割りを)大きく訴求していく」と意気込んだ。また、スマホの設定や操作を支援するサービス、個人情報の漏えいを防ぐサービスなどを盛り込んだ「UQあんしんパック」などの提供も8日に始める。
日刊工業新聞2017年6月2日
「ワイモバイルに追いつけ追い越せ」
格安スマートフォン市場でひときわ存在感を放つブランドがある。ソフトバンクのセカンドブランド「ワイモバイル」だ。2016年にiPhone(アイフォーン)の取り扱いや月1980円(消費税抜き)から使える割引など矢継ぎ早に施策を打ち出し、スマホの販売台数を大幅に増やした。NTTドコモやau、ソフトバンクを含めたスマホ市場全体における販売台数のシェアも拡大している。
「我々はベンチマークされる側。他社を引き離すためにまい進している」。ソフトバンクでワイモバイル事業を担当する寺尾洋幸執行役員は、格安スマホ市場のけん引役を自負する。実際に多くの格安スマホ事業者は強い競合相手と認識しており、割安感を求める消費者を奪い合っている。
特にKDDI傘下で格安スマホ「UQモバイル」を展開するUQコミュニケーションズ(東京都港区)は「ワイモバイルに追いつけ追い越せで取り組んでいる」(野坂章雄社長)と対抗意識を隠さない。
ワイモバイルは格安スマホ市場において特異な存在だ。他の事業者が大手キャリアの回線を借りてサービスを展開するのに対し自社の設備で提供する。
全国には約1000店舗を構えており、販売網も潤沢。このため「他の格安スマホ事業者は(同じようなサービスで)真正面から競合しても勝ち目を見いだすのは難しい」(横田英明MM総研取締役)といった指摘が挙がる。
ただ、格安スマホ市場は拡大する過程で通信事業者以外の参入が相次いだ。ワイモバイルはそうした他業種によるサービスに警戒感を示す。特に楽天やLINEを意識している模様だ。ソフトバンクの寺尾執行役員は楽天やLINEに対し「通信事業者とは異なる独自のサービスを生かした取り組みは脅威」と胸の内を明かす。
例えば楽天は「スマホは『楽天経済圏』の入り口」(大尾嘉宏人執行役員)と位置付ける。「経済圏」では電子商取引(EC)サイト「楽天市場」などのサービスを展開している。スマホの顧客にはそうしたサービスを利用した際のポイント還元率を高めるといった独自の価値を提供している。
もちろん、ワイモバイルもそうした事業者の攻勢を黙って見ているわけではない。ヤフーサービスとの連携強化を図っており、2月にはECサイト「Yahoo!ショッピング」のポイント還元率を拡大する施策などを始めた。「今後はヤフー以外を含めた多様な連携を検討し、サービスを充実する」(寺尾執行役員)と意気込む。
ワイモバイルの存在感は、格安スマホ市場の拡大を加速する要素にもなっている。他の事業者との顧客獲得競争を含めて、その動向が今後も市場に影響を与えるのは間違いない。
(文=葭本隆太)
日刊工業新聞2017年4月12日