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地球背景に“自撮り”する超小型衛星、何のため?

宇宙開発が趣味の会社員や学生が集まった団体が開発
 宇宙開発が趣味の会社員や学生が集まった団体「リーマンサットスペーシズ」(宮本卓代表理事)は、地球や宇宙を背景にし衛星の“自撮り”機能を実証する「リーマンサット・プロジェクト」を進める。平日の夜や休日に集い、超小型衛星を開発している。

 開発中の衛星「RS―01」は、宇宙空間での自撮りに機能を特化。カメラを取り付けたロボットアームを伸び縮みさせ、地球周回軌道上で衛星が地球や宇宙をバックに自らを撮影する。技術班の嶋村圭史(たかふみ)氏はこのアイデアを基に「自撮り画像から、衛星の破損を把握するなどできるのではないか」と考えている。

 2014年、プロジェクトは5人のメンバーで始まった。現在120人が衛星開発に力を注ぐ。衛星の製作には、メンバーの一員であるCreative Worksやアリジ工業所など、東京都江戸川区の町工場が携わっている。
              

 自撮り機能の実証前に衛星の基本機能を実証する必要が出たため、16年10月から試験機「RS―00」を開発。大きさは10センチメートルの立方体で質量は1・3キログラム。18年の打ち上げを目指す。

 RS―00特有のミッションもある。願い事を音声データにして衛星に載せ、宇宙に届ける「宇宙ポスト」の機能を持たせている。打ち上がった衛星から自分の願い事を無線で聞くことができる。

創設メンバーの一人である菅田朋樹氏は、「打ち上げた衛星は数カ月で地球に落ちて流れ星になる。これに合わせたイベントをやりアピールしたい」と社会に向けてプロジェクトの輪を広げたい考えだ。
衛星RS―01(リーマンサットスペーシズ提供)

(文=冨井哲雄)
日刊工業新聞2017年6月2日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
流れ星に地上から願い事をするのではなく、宇宙に直接願い事を届け、何なら願い事ごと流れ星にしてしまうという時代のようです。より宇宙が身近な時代になってきました。

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