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心を病む人を診察する精神科医のストレス

相当のエネルギーを費やす日々
 精神科医の日常業務は心病む人の治療であることは皆さんご存じのことでしょう。強い興奮を見せる病態には抗精神病薬などを使って鎮静を図ります。幻の声、「幻聴」が頭の中で聞こえてくる状態が背景にある場合や、襲われるなど被害的な思い「被害妄想」では、怖さのあまり大騒ぎすることにもなります。

 一方、躁(そう)状態となると気分は高揚、活動的になります。あたかもスーパーマンになったような気分に支配され、迷惑行為に及んで入院、あるいは活動が過ぎて衰弱し、入院になることもあります。同様に薬物療法が有効です。逆に活動性の低下した状態、うつ病あるいはパニック障害など不安を主徴とするものも薬物療法が欠かせません。

 しかし、いずれの心の病にも精神療法と呼ばれるさまざまな技法をもって患者と接し、病気の性質あるいは治療内容についての理解を高めるような話し合い、働きかけが不可欠です。我々精神科医も病気、病態によっては相当のエネルギーを費やすこととなることは言うまでもありません。

 さて、そんなストレスフルな日々の中、精神科医はどのようにしてストレスを解消しているのでしょうか。世間並みにさまざまな趣味をもって楽しんでいるようです。ゴルフ、テニスなどのスポーツ。音楽、絵画、旅行等々それぞれ上手に楽しんでいるようです。

 小生もご多分に漏れず、ゴルフ、ヨットなどを楽しんできましたが、昨年暮れに一念発起してクレー射撃に挑戦すると決め、年明けて2月に都内の警察署で講習を受け、簡単なテストに合格。次なるは地元警察による調査となりました。

 なんでも、同居人にその筋の人がいるなどは資格なしとか。それはないと自信を持っていたものの、待てど暮らせど次なるステップへの合格証が来ません。

 警察署に問い合わせると、猟銃を扱う人も最近では高齢者が多くなり、車の事故と同様、認知症による事故が多くなっているから慎重になっているというような事を言われました。

 なるほど、クレー射撃を始めるには72歳は遅すぎたか、そういうことかと妙に納得していたところ、実技テストを受験する資格証が届きました。

 この間2か月、通常は1か月程度と聞いていたので年寄り扱いされたと思いつつ実技テストに向けて軽度の興奮を覚え、猟銃のカタログを見ては悦に入っている姿を見て「それって年寄りの冷や水って言うんじゃない」と中学生の孫に笑われています。
(文=山田雄飛 医療法人社団薫風会山田病院院長)
日刊工業新聞2017年5月26日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
自分は病気じゃないと思いたがる結構シリアスな患者さん。病気じゃないのに自分は病気だと言いたがる人。精神科医はどこまで一人ひとりに向き合って仕事をしているのか、と聞いてみたくなります。人は誰かに話すことで楽になります。聞いてばかりいる精神科医の方々のストレスは確かに大変でしょう。ただこれから精神科・心療内科などの診察・治療の方法も、画一的なものから変わっていくのではないか、と感じます。

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