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「テーマパークからイオンへ」の流れは続くのか

閉園決定の「スペースワールド」に見る地方活性化の現実
「テーマパークからイオンへ」の流れは続くのか

「スペースワールド」公式サイトより

 「スペースワールド」は、新日本製鉄(現新日鉄住金)が北九州市八幡東区の八幡製鉄所遊休地に、1990年に開業したテーマパークだ。経営不振で年内の閉園が決まっているが、その跡地にイオンモールが大型複合商業施設の開設を検討している。

 バブル崩壊前夜に開業したスペースワールドは、97年度の216万人をピークに来場者が減り続けた。新日鉄は05年に営業権を加森観光(札幌市中央区)に譲渡し、存続を模索したがかなわなかった。

 バブル期に計画・建設されたテーマパークの多くが閉園または経営不振に陥っている。器(施設)さえ作れば人は呼べるという安易な発想は、結果的に立地都市のイメージまで損ねる。

 北九州市は全国の政令市で最も高齢化率が高く、人口減少に苦しんでいる。複合商業施設が開業すれば、周辺人口が100万人を優に超える北九州都市圏から若者や家族連れが集まると歓迎する声が聞こえる。一方で地元商店街などは疲弊すると、反対の声も挙がる。

 地方都市の活性化策に妙案はない。ただ、人を呼ぶ手だてがなければ街ににぎわいを取り戻せない。テーマパークから商業施設へのチェンジは、ピンチをチャンスに変える妙案と捉えたい。
日刊工業新聞2017年5月3日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
我が地元の石川県小松市に北陸最大のイオンモール「イオンモール新小松」が先日誕生し連日大賑わいという。一番行列が出来ているのは「いきなりステーキ」だとか。飲食を含めこの商業施設にはあまり地元のお店は入っていない。石川県ではさらに巨大なイオンの出店計画もある。テーマパークの跡地ではないが、行政などからすれば、元工場など大規模な遊休地にイオンのような商業施設を誘致するのが手っ取り早いと考えるだろう。この記事は商業施設の象徴としてイオンを取り上げているが、地方がイオンモール的な施設だらけになるも味気ない。 テーマパークの視点でいえば、TDLやUSJなど巨額投資を継続できるところと、旭山動物園など地域のロケーションを生かしたローカル価値を提供できるところが生き残っていくだろう。テーマパークも商業施設も集客という意味ではビジネスプラットフォーム。特にテーマパークにおいて、日本はそのプラットフォームを作ったりマーケティングしていく人材の層が薄いと感じる。

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