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今、小・中高で知財教育が活溌化している理由

遊んでいるオモチャは洗練され過ぎて、他者の創作物に対する配慮は生まれない
今、小・中高で知財教育が活溌化している理由

発明協会は少年少女発明クラブの活動を支援(発明協会)


大学でも活溌化


 国士舘大学大学院総合知的財産法学研究科では、企業に知的財産戦略を提案できる専門家の育成を目指す。民法や憲法などの法学の基本に加え、知的財産の専門の法律と、技術や経営の能力を付加できるような教育を行っている。

 教員には現役の弁理士をそろえ中立な立場で中小企業の知財経営戦略を教えている。さらに教員の特許事務所に大学院生を受け入れ実地業務を行う「エクスターンシップ」も大きな特徴だ。同研究科の飯田昭夫教授は「企業や特許事務所、海外という輪をつなげたい」とグローバルネットワークの構築を目指す。

 金沢工業大学は2016年度から社会人を対象にした「K.I.T.虎ノ門大学院イノベーションマネジメント研究科イノベーションマネジメント専攻」を開講している。経営学修士(MBA)か知的財産マネジメント修士(MIPM)の取得選択が可能で、ビジネスと知財を総合的に学べる。
             

 現役の弁理士や弁護士、企業の知財部など実務家教員による教育が特徴。同研究科の加藤浩一郎教授は「今後、第四次産業革命やモノのインターネット(IoT)などに対応し、教育カリキュラムを整備していきたい」としている。

 大阪工業大学大学院知的財産研究科は、産業界などの多様なニーズに応える知財分野の専門職業人を育成している。基礎から関連領域まで60に及ぶ履修科目を用意。特定分野に偏らないバランスのとれたカリキュラムを提供している。

 社会人や留学生の支援には特に力を入れている。17年度からはメディア授業(遠隔授業)を本格化。科目の3分の2に導入し録画映像などで受講できるようにする。初年度にキャンパスで学んだ留学生は次年度、本国での履修も可能だ。

 こうした教育ポリシーや日ごろの活動が評価され同大は、17年度の知財功労賞で経済産業大臣表彰を受賞している。
日刊工業新聞電子版【業界展望台】知財活用特集
土田智憲
土田智憲 Tsuchida Tomonori かねひろ
小学校の時、夏休みの課題を発明工夫展に出すのが楽しみだった。牛乳パックを数百個使って、実際に自分が乗れる船を作って、実際に川に漕ぎ出したのも良い思い出である。これを作るとき、この数百個の牛乳パックをどうやって集めるのかという戦略から、どうすれば水が入ってこないようにできるかという物理的なものまで、いろんな考える要素があった。すごい達成感があった。  僕は、ヨーヨーなどにも熱中したが、ああいうおもちゃも、自分の身体性を高めることと創意工夫が重要な遊びである。当時は資格制度もあって、自分の成長を確かめる機会にもなった。こういう遊びながら高められる資格なども重要な要素の1つかもしれない。

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