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ホンダは非効率な購買にメスを入れられるか。8年ぶりにサプライヤー説明会

地域主導から本社主導へ。生産や販売台数などの数値目標には言及せず
 ホンダがサプライヤーとの一体感を強めている。従来は自社の購買方針を個別に話すことが多かったが、このほど各社を一堂に集めた購買方針説明会を8年ぶりに開催。生産や販売台数などの新たな数値目標には言及しなかったものの、自社グループ内外のサプライヤーとの連携を強める姿勢を示したようだ。自動車業界に押し寄せる大きな変化に対して八郷隆弘社長が掲げる「チームホンダ」を推進し、荒波を乗り切るための布石にも映る。

 「生産や品質への取り組みについて、年初の懇親会よりも具体的な話が聞けた」。4月上旬、東京都内のホテルで開いた購買方針説明会。出席したサプライヤー幹部は、8年ぶりの開催について一定の感触を示す。

 説明会にはサプライヤー幹部ら300人以上が参加した。ホンダは、複数車種に使う共通部品の開発に関してサプライヤー各社の協力を求めた模様。今後さらに進めることでコスト競争力を高める狙いだ。

 ホンダは2012年、世界販売台数を5割増の600万台に高める目標を掲げた。これに伴って車作りの効率化を求めて、各地に生産拠点を持ちモジュール開発に強いメガサプライヤーとの取引を拡大する方針を打ち出した。ところがこの拡大路線は、主力車種のリコール発生などにより旗を降ろさざるを得なくなった。

 自動運転技術やコネクテッドカー(つながる車)など先進技術の開発競争が加速する中、今後の成長には異業種も含めたグループ内外のサプライヤーとの協業の巧拙が問われてくる。

 購買方針説明は、今回を皮切りに定期的に開く予定だ。松井直人執行役員購買本部長は「今は変化の激しい時代。開発の早い段階からサプライヤーと役割を決めて新しい価値を世に出していきたい」と、サプライヤーと一体での新技術・商品の開発に意欲を燃やす。

 ただ、今回の会合出席者の中には「数値目標の開示がなく、なぜ久々に開催したのかわからない」と指摘する声もあがる。今後、チームホンダとしての協力体制をいかに盤石なものにしていくのか。一層のスピード感が問われそうだ。
日刊工業新聞2017年4月25日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
 現中期経営計画で、共同購買によるコスト競争力改善を目指したグローバルプラットフォーム化の推進を進めていると考えられる。この方針の中で、購買方針を地域主導から本社主導へホンダは変更してきている。  規模も500-600万台と中途半端な状況にも関わらず、ホンダのプラットフォーム、購買効率は実は非常に非効率的であった。地域バラバラに企画、開発を進めた弊害だ。また、実力以上に現地生産化を進め、逆に原材料は素形材の地域輸入量増加による 為替変動影響の増大も招いた。効率化を進め、如何にホンダらしさを両立するか。これがホンダの購買戦略の大きなカギであるだろう。

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