キリンとアサヒ、共同配送を鉄道に切り替え。食品業界で進む物流改革
「競争すべきところは競争し、非競争分野は協調していく」
「物流問題は業界全体の問題。1社だけで悩んでいても解決しない」。飲料・食品業界では共同配送が活発になってきた。「他社との共同による物流改革で持続可能なバリューチェーンを構築したい」(西井孝明味の素社長)。人手不足の深刻化で、各社は共同配送についてもう一段踏み込む段階に入った。
キリンビールとアサヒビールは1月、関西から北陸への配送を、鉄道による共同輸送方式に切り替えた。これまでは各工場から別々にトラックで配送していた。
共同輸送にはJR貨物と日本通運も参加。関西から北陸向けのJR貨物の空コンテナを活用し、キリンとアサヒ両社の商品を金沢の共同物流センターへ輸送する。
「競争すべきところは競争し、非競争分野は協調していく」。石井康之キリンホールディングス取締役常務執行役員は、こう強調する。
キリンとアサヒは首都圏での小口配送や、長野県や静岡県の一部地域で空容器回収の共同化も推進している。さらにサントリービール、サッポロビールも加えた計4社で、年内に北海道でビール類の共同輸送に着手する計画も進めている。北海道は面積が広い割に荷物量が少なく、共同輸送メリットが大きい。
味の素はカゴメ、日清フーズ(東京都千代田区)、ハウス食品グループ本社、日清オイリオグループ、ミツカンの5社と共同で、2016年4月に北海道で常温商品の共同輸送をスタート。さらにこの中から日清オイリオとミツカンを除いた計4社で、北海道地区と、九州地区にそれぞれ物流会社を4月までに設立した。19年には全国規模への展開も視野に入れる。
商品の価格競争が激しさを増す中、メーカーが輸送コストを吸収する構造は限界を迎えている。共同輸送でトラックや鉄道の積載効率を上げ、運送コストを減らすのは重要な経営課題になりつつある。
(文=嶋田歩)
キリンビールとアサヒビールは1月、関西から北陸への配送を、鉄道による共同輸送方式に切り替えた。これまでは各工場から別々にトラックで配送していた。
共同輸送にはJR貨物と日本通運も参加。関西から北陸向けのJR貨物の空コンテナを活用し、キリンとアサヒ両社の商品を金沢の共同物流センターへ輸送する。
「競争すべきところは競争し、非競争分野は協調していく」。石井康之キリンホールディングス取締役常務執行役員は、こう強調する。
キリンとアサヒは首都圏での小口配送や、長野県や静岡県の一部地域で空容器回収の共同化も推進している。さらにサントリービール、サッポロビールも加えた計4社で、年内に北海道でビール類の共同輸送に着手する計画も進めている。北海道は面積が広い割に荷物量が少なく、共同輸送メリットが大きい。
味の素はカゴメ、日清フーズ(東京都千代田区)、ハウス食品グループ本社、日清オイリオグループ、ミツカンの5社と共同で、2016年4月に北海道で常温商品の共同輸送をスタート。さらにこの中から日清オイリオとミツカンを除いた計4社で、北海道地区と、九州地区にそれぞれ物流会社を4月までに設立した。19年には全国規模への展開も視野に入れる。
商品の価格競争が激しさを増す中、メーカーが輸送コストを吸収する構造は限界を迎えている。共同輸送でトラックや鉄道の積載効率を上げ、運送コストを減らすのは重要な経営課題になりつつある。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2017年4月14日