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賞金100万円に200人超応募、にぎわうNEDO懸賞金に見る可能性

賞金100万円に200人超応募、にぎわうNEDO懸賞金に見る可能性

生体データAIプログラムはスケートボードを題材とした(NEDOプロジェクトページより)

技術開発・協業生態系生む

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が始めた懸賞金活用型プログラムの投資効果が高いことが分かってきた。優勝賞金が100万円と比較的小さなプログラムでも200人以上が応募し、技術開発と人材育成を兼ねたエコシステム(協業の生態系)形成に貢献している。従来の委託型の開発事業と懸賞金事業を組み合わせると集中的な技術開発と未知の可能性探索を補完できる可能性がある。

懸賞金事業は2023年度に始まり、24年度から本格化した。人工知能(AI)技術でヒトの生体データから身体動作を予測するプログラムでは223人が挑戦した。精度の高い上位15人程度が最終審査に進み、1位は100万円、2位は50万円の賞金を受け取る。

衛星データの解析プログラムでは60以上の応募があり、この中から17の企業や個人チームが最終選考に進む。優勝賞金は1000万円と事業者が挑戦するにはうまみは少ない。それでも通常の委託事業と同等かそれ以上の倍率になった。NEDOの萬木慶子部長は「優勝者を表彰して終わりでなく、次の国プロにつなげる」という。

AIやデータ解析は小さなチームでも挑戦しやすい。委託事業で計測装置などを開発しつつ、AI処理で測定データに付加価値を付けるために懸賞金事業を並走させるなど、イノベーション施策の選択肢が増えた。装置開発とアプリケーション開拓を同時に進めれば従来の国プロの弱点を補える可能性がある。

日刊工業新聞 2024年12月12日

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