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安川電機が始動する新中計の柱、米ロボ工場計画の全容

安川電機が始動する新中計の柱、米ロボ工場計画の全容

安川電機のロボット工場

安川電機は米国で建設を検討するロボット工場計画を、2026年度から始動する新3カ年中期経営計画の大きな柱に位置付ける。ロボットの標準品を現地生産するとともに、人工知能(AI)を用いた自律ロボットの市場開拓を進める。また25年度の成長率はサーボモーターやインバーターなどのモーションコントロール事業とロボット事業で5―7%の成長を見込む。(高島里沙)

安川電機が米国で進める事業強化投資では、自国第一を掲げる次期トランプ政権の誕生も追い風となる。新ロボット工場の建設を含む投資額は約300億円で、6軸ロボットなど需要の7割を現地生産する方針。現在は日本から輸出している。小川昌寛社長は現地需要について、「米国内での投資は明確にポジティブに動くとみる」と期待する。

標準ロボットの生産に加え、AI活用の自律ロボット「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)」を訴求したい考え。小川社長は「AIロボティクスが今後のポイント」とした上で、「需要が顕在化するであろう市場開発型ビジネスで、産業発展に参画していける存在感を持つのが米国投資の本望だ」と語る。特に医療や創薬、物流業界向けに、AIとロボットの融合による高度なシステム提供を目指す。

同社は現中計の最終年度となる26年2月期に売上高6500億円、営業利益1000億円の目標を掲げる。25年2月期連結業績予想は売上高5530億円、営業利益640億円の見通しで残り約1年での挽回となるが、現時点では目標値を下げていない。米国市場への期待は高まる一方で、中国需要の回復は今ひとつだ。一定水準の維持は見込めるものの、2ケタを超えるような成長は期待しづらい。小川社長は「24年度や25年度前半の受注動向でボリューム想定がもう少し明確になればそれに基づいて(目標値を見直すかを)考えたい」とする。

日刊工業新聞 2024年12月4日

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