「チャットGPT」利用2倍…住友生命が生成AI活用促進、呼び水は社内コンテスト
住友生命保険は社員に生成人工知能(AI)「チャットGPT」の活用促進策を拡大する。2024年度下期に、優れたプロンプト(指示文)を表彰する従来のコンテストに画像生成を加える。チャットGPT利用の機運を高めて、業務に浸透させる。4月から6カ月かけて開催した第1回目のコンテストでは、事務ミスの再発防止策といった業務に直結する具体的なアイデアが優秀作品に選ばれた。コンテストの募集期間中は、チャットGPTの利用が約2倍に増える効果があったという。
コンテストは本社と支社の社員約1万7000人を対象に、4月に通知してスタートした。当初、プロンプトの応募期間は1カ月としていたが、「約20件しか集まらなかった」(住友生命のデジタル&データ本部)ことから6月まで期間を延長し、勉強会なども開いて社員の参加を呼びかけた。結果、81件の作品が集まったという。
寄せられた作品をデジタル&データ本部を中心にした審査員が精査し、10作品を選定。これらを公開して8月に社員の投票を行った。最多票を獲得した「チームスで集めた情報の整理・成果物化」の最優秀作品に加え、「事務ミスの再発防止策の考案」と「商品サポートデスクの新人対応者の教育」が優秀賞に選ばれた。
10月に表彰式を開催し、最優秀賞には5万円、優秀賞には2万円のギフトカードを進呈した。
住友生命はコンテストを実施した4―9月に、社員によるチャットGPTの利用状況を調査した。コンテスト開催以前は、週当たりのチャット数が4000―6000回に対し、コンテストの応募期間や投票期間は8000―1万回に上るなど約2倍の利用促進効果がみられたという。
また投票に参加した589人の社員にアンケートを実施したところ、コンテストの開催で「チャットGPT利用のモチベーション向上につながった」と回答した人の割合は54%と、「どちらでもない」(37%)や「つながらなかった」(9%)を上回った。
企業がチャットGPTを業務に使える環境を整えても、実際に利用する社員は1割程度との指摘もある。住友生命でも似たような状況にあるため、同社はより積極的に社員に使ってもらえるようコンテストを工夫する。
今後は画像生成にも範囲を広げ、コンテストを開催する。画像生成が業務で活用できれば一層の効率化や生産性向上につながるとみており、応募を促す。