共済・ジムなど優遇…保険各社、ポイントで顧客囲い込む
若年・責任世代に訴求
保険業界で顧客開拓にポイントを活用する動きが広がっている。T&D保険グループのAll Right(オールライト、東京都中央区)はベビー用品のコンビ(同台東区)と連携し、ポイントで給付する共済サービスを始めた。SOMPOホールディングス(HD)は傘下の事業会社でポイントがたまると、ライザップグループの低価格スポーツジムの優待が受けられる取り組みを開始。若年層を中心に関心が高いポイントを訴求し、既存顧客の囲い込みにもつなげる。(大城麻木乃)
オールライトはコンビの会員向けに子育て世代を応援する共済サービスを始めた。子どもを持つ親が体調を崩して入通院しベビーシッターなどを利用した場合、1回当たり3000ポイントを付与する。1ポイントは1円相当で、デジタルギフトに換えられる。
利用者はオールライトのLINE公式アカウント経由でサービスに加入し、アカウント内で付与されるポイントをためる仕組み。現金ではなくポイント給付にすることで、オールライトのLINEアカウントにつなぎ留め、提携する健康管理アプリやフィットネスジムといった他のパートナー企業のサービスにつなげる。
オールライトは掛け金が月額500円と割安で加入人数が1000人までと小規模な「共済」の仕組みを活用し、保険に対して心理的なハードルを抱える若年層を幅広く取り込む戦略だ。
一般的に家族が増え、仕事の役職が上がるなど「責任世代」になるタイミングで、保険加入を検討する消費者が多い。ポイントで若年層を囲い込み、将来的に保険ニーズが出てきた際に「真っ先に当社のことを思い出してもらえる存在になる」(オールライトの前田敏泰マーケティング部長)という。
まずコンビのように一定の顧客基盤を抱えるパートナー企業と連携し、自社のLINE公式アカウントで提供するサービスの魅力度を高める。
SOMPOHDは傘下の事業会社の会員向けに、資本関係にあるライザップグループの低価格スポーツジム「チョコザップ」の優待サービスを提供する。損害保険ジャパンの情報発信サイト「SOMPOパーク」や、ひまわり生命保険の健康アプリ「MYひまわり」の会員になると、チョコザップの初期費用などが無料になる。
SOMPOパークは保険契約者以外でも加入できる。メールマガジンへの登録やアンケート回答などの条件を満たすと優待が受けられる。SOMPOHDも顧客の関心の高いポイントの付与で、自社グループ企業のサービスに顧客をつなぎとめる狙いだ。
保険業界では、住友生命保険が歩いた歩数などでポイントがたまりコンビニの飲料などに換えられる仕組みで先行する。保険は従来、病気やけがなど保険金を支払うタイミングで顧客と接点を持つことが多かった。ポイントの仕組みを活用することで、日常から顧客とつながり、経済的価値を提供することが可能になる。