運動、カード支払いで還元…保険各社で特典にポイント経済圏拡大
異業種を巻き込んだポイント経済圏の波が保険業界にも押し寄せている。住友生命保険は19日、三井住友カードと連携し、ウオーキングなど運動をするとSMBCグループ共通ポイント「Vポイント」がたまる新サービスを10月に始めると発表した。日本生命保険子会社のはなさく生命保険(東京都港区)は、NTTドコモの「dポイント」がたまる保険比較サイトで医療保険の販売を8月末に始めた。ポイント経済圏が保険業界にどこまで浸透するのか注目される。(大城麻木乃)
住友生命は、保険非加入者も入れる運動すると特典が得られるサービスで、三井住友カード会員専用のプログラム「バイタリティースマート・フォー・Vポイント」を10月2日に始める。従来と同様に運動をするとコンビニエンスストアなどで飲料に交換可能なチケットなどがもらえるほか、米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」を購入し本格的に運動を始めた人向けに、最大2万4000円分のVポイントを付与する。
また運動の頻度に応じてブルーからゴールドまでの4段階のステータスになる従来のサービスと連動し、0・5―2・0%のVポイントを還元する。運動の頻度が高い最上位のゴールド会員が対象のコンビニで三井住友カードを利用すると、通常ポイントに加えてさらに2・0%ポイントもらえる。お得感を訴求して運動への動機付けとする仕掛けだ。
利用料は月額500円(消費税込み)で、三井住友カード会員向けサイト「Vpass」経由で加入する。住友生命は保険以外のサービス領域まで広げた顧客体験価値の向上を推進しており、3月に運動すると特典が得られるサービス「バイタリティー」を保険と切り離し、契約者以外でも入れるようにした。ただ、現状は保険の営業職員経由で加入者を広げている状況で、「販路を広げる第一弾」(堀江喜義執行役常務)として三井住友カードと手を組んだ。今回の連携で保険と接点のない顧客にまで裾野を広げたい考えだ。
また三井住友カードは、8月末にライフネット生命保険に40億円の出資を公表。すでに同カードが手がける「保険ポータルサイト」でライフネット生命の保険に申し込めるが、今後はVポイントを活用した共同での保険商品の開発も視野に入れている。
はなさく生命は、NTTドコモの保険比較サイト「ドコモスマート保険ナビ」で保険の販売を開始。毎月の保険料をドコモの決済サービス「d払い」にすると、最大60カ月間、通常のdポイントに上乗せして保険料1%相当のポイントを付与する。dカードで支払うと、通常のdポイントと保険料分で計2%のポイントがもらえる。
保険プラスαの価値を付けて消費者をひき付ける手段としてポイントを活用する動きが広がりそうだ。