高断熱化×全館空調は快適性・省エネ性向上の最適解か
LIXILと東京電力エナジーパートナー(東電EP、東京都中央区、長崎桃子社長)が連携し、断熱性能と空調方式が異なる実験住宅2棟でエネルギー消費量と室内温熱環境の計測を進めている。全館空調にLIXILが開発した高断熱住宅向けシステム「エコエアFine」を使用。高断熱化と全館空調の組み合わせが、快適性と省エネルギー性の向上につながることを立証するのが狙いだ。
実証実験は夏季と冬季のデータ比較・分析が目的で、実験住宅2棟のうちA棟は断熱等級「6」相当でエコエアFineを連続運転。B棟は一般的な新築住宅の水準となる断熱等級「4」相当でエアコンを部屋ごとに間欠運転している。25年度はB棟を既存住宅と想定し、約30年前の断熱性能レベルの等級「2」相当に変更する予定だ。
実証は東京電力ホールディングス経営技術戦略研究所(横浜市鶴見区)の実験住宅で26年3月まで行う。2棟は同じ間取りで延べ床面積は約100平方メートルの木造2階建て住宅。「全く同じ建物での実験は非常に貴重なエビデンス(科学的根拠)になる」(LIXIL HOUSING TECHNOLOGY ZEH推進事業部の笠井達也事業部長)と見る。
新築住宅は25年度から断熱等級「4」の適合が義務化される。国内ではカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた住宅の高断熱化が進む。LIXILと東電EPは「断熱性能が高い住宅は空調負荷が低くなる」と分析する。全館空調の市場は「(参考値で)国内全住宅の10%未満にとどまるが、30年には500億円規模になる」(LIXIL)と見る。
住宅全体を一年中適温に保ち、効率的に空調を行う全館空調は年間消費電力を抑える効果がある。LIXILはエコエアFineを23年に発売し、1年あまりで200棟に販売。直近の年間販売目標を300棟とする。ダクトの量や太さを絞るなど機器をコンパクト化し、価格帯を従来比で30―40%程度抑えた。