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トラック運転手滞留時間30分に短縮…「物流の2024年問題」対応、サントリーHDの工夫

トラック運転手滞留時間30分に短縮…「物流の2024年問題」対応、サントリーHDの工夫

奥の仮置き場からフォークリフトで商品をウイング式トラックに積み込む

事前準備で積み込みスムーズ

サントリーホールディングス(HD)はトラック運転手の時間外労働を規制する「物流の2024年問題」に対応するため、運転手の長時間労働につながる待機時間削減に取り組んでいる。浦和美園配送センター(さいたま市緑区)は商品の仮置き場を拡充するなどの工夫で、運転手の平均滞留時間を1時間―1時間半から30分に短縮した。同センターの取り組みを他の物流拠点に広げる方針だ。

浦和美園配送センターは待機時間削減のため、バース周辺に詰め込み商品の仮置き場を設置した。通常の配送センターはトラック到着後に積み込む商品の荷集めを行うが、同センターは仮置き場に事前準備しておくことで到着と同時に積み込みが可能になった。仮置き場スペースは通常の2倍の広さを確保し、低床設計によって飲料業界で一般的なウイング式トラックにそのまま積み込むことができる。また自動受付システムで入出庫時の手続き時間を短縮した。

同センターは21年10月に稼働開始した。通常の3倍規模の39バースを備える。24時間体制で運営し、年間2500万ケースの飲料を扱う。建物は大和ハウス工業のマルチテナント型物流施設(DPL)で地上5階建てのうち、3階から5階部分をサントリーグループが使用する。大和ハウスと入居前から協議を重ねて、低面低床のバースや床荷重などを飲料に最適な仕様にした。

サントリーHD物流調達部の塚田哲也部長は「(対策をしなければ)30年には22年比でトラック運転手が30%いなくなる」と危機感を示す。同センターでの仮置き場スペース拡張などの取り組みを他の拠点に横展開し、大都市圏の拠点については別の倉庫に借り換えることも検討する。

日刊工業新聞 2024年10月23日

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