炭素繊維糸に耐衝撃性…東洋紡せんい、ポリカ繊維と複合で開発
車・土木資材向け提案
東洋紡せんい(大阪市北区、清水栄一社長)は、炭素繊維とポリカーボネート繊維を複合した、熱可塑性の炭素繊維複合糸を開発した。同複合糸を用いた織物などの中間基材を加熱してプレス加工することで、ポリカーボネートの特徴である耐衝撃性や耐候性などに優れる熱可塑性炭素繊維複合材(CFRTP)を製造できる。自動車や土木建築用資材など幅広く提案し、2026年度の販売を目指す。
炭素繊維と熱可塑性繊維を組み合わせた炭素繊維複合糸「CfCyarn(ヤーン)」の第2弾。第1弾のナイロン繊維に代えて、ポリカーボネート繊維を採用。ポリカーボネート繊維を軸とし、炭素繊維、ポリカーボネート繊維を重ねた3層構造とした。
ポリカーボネート繊維は耐衝撃性や耐候性、低吸水性、寸法安定性、透明性などに優れるが、粘度が高いためCFRTPを製造する際に炭素繊維への含浸性を高めることが難しい。これに対し、CfCヤーンは3層構造を持ち加熱、プレスした際に炭素繊維にポリカーボネートが含浸しやすい特徴を持つ。
ポリカーボネート繊維は剛性が高いが、第1弾で開発したナイロン繊維を使用した炭素繊維複合糸の製造条件を変えることや、東洋紡せんいの異素材を組み合わせる複合紡績糸技術を用いて開発。糸のため、組みひもやUD(一方向連続繊維強化複合材料)シート、織物、ニットなどの中間基材に加工できる。
同社はCfCヤーンの構造で、ポリプロピレン繊維を軸にガラス繊維を用いた3層構造のGfCヤーンも開発。自動車用など形状が複雑な部材向けの用途を開拓する。
日刊工業新聞 2024年10月23日