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大学発スタートアップ立ち上げ円滑に、経営者候補で人材バンク

大学発スタートアップ立ち上げ円滑に、経営者候補で人材バンク

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文部科学省は大学発スタートアップの経営者候補となる人材バンクを整備する。大学研究者が創業時に経営人材を探して引き抜くのは困難だったが、大学として希望者を募ると数百人規模の応募があった例もある。人材情報を大学間などで共有しスタートアップの立ち上げを円滑化する。ネットワーク構築支援事業として運営事業者を募り、11月にも支援活動を始める。

科学技術振興機構(JST)の全国ネットワーク構築支援事業として進める。予算規模は総額41億円。大学とベンチャーキャピタル(VC)などの九つの共創プラットフォーム(基盤)を連携させる戦略会議を設置し、戦略会議の機能の一つとして人材バンクを整える。

人材バンクとして、大学間でスタートアップ経営人材の候補者リストを共有する体制を整備する。現在は研究者の人脈を使って候補人材を探し、研究室の卒業生を充当することが多い。だが、その場合、経営者としての実績がないため、VCや金融機関などからの評価を一から作り上げる必要がある。経営者として実績がある候補人材をVCから紹介してもらえる大学も限定的だ。

一方、文科省によると、大学が経営人材を公募する場合、例えば、九州大学では300人の応募があったにもかかわらず、数社しか紹介できなかったことがあった。東北大学では3000人の候補人材の情報を抱えているという。これら情報を本人の了解を得て大学間で共有できれば、地方大学や中小規模大学でも恩恵がある。

経営人材にとっては、地方に眠る優れた技術系スタートアップにアクセスしやすくなる利点もある。人材情報は自治体とも共有し、社会起業家の養成などにもつなげる考えだ。

日刊工業新聞 2024年09月05日

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