傾斜40度の砂利面も登る…不整地走る小型ロボット、力の源は「変形車輪」
公立はこだて未来大学の村岡広海学部生と三上貞芳教授、函館工業高等専門学校の隅田真一郎准教授らは、変形車輪で不整地を走る小型ロボットを開発した。シャフトと輪ゴムが拮抗して8面体を作るテンセグリティ構造で車輪を構成した。テンセグリティ車輪が路面や段差に応じて変形するため不整地を走れる。実際に傾斜40度の砂利面を登れた。雪上や不整地での運搬などに提案していく。
3本のアルミシャフトを直交させて、それぞれの端点を輪ゴムで結んで8面体の拮抗構造を作る。シャフトがそれぞれの向きに動くため、車輪が大きく変形する。このテンセグリティ車輪を四つ用意して小型移動ロボを作製した。
火山砂利を敷き詰めて登坂能力を検証するとテンセグリティ車輪は斜度40度まで登れた。アルミシャフトを直交させて固定した機体は25度だった。変形機能が登坂能力を向上させたといえる。
クレバスや地割れを模したV字の谷の中を走行させると谷の角度が15度まで走行できた。車輪が変形して多点で接地できるため安定する。丸い車輪に比べて平面走行時の上下振動は大きくなるが、段差や不整地を走る際の振動は小さくなる。
現在は移動の原理を確認した段階。可搬重量が大きい機体は金属バネなどで車輪を構成する。テンセグリティ構造はさまざまな形が提案されており、より最適な構造を探索する。雪上と舗装路面など、変化の大きな地面に対応する移動支援ロボや、火山や地割れなどの環境計測ロボなどに提案していく。
日刊工業新聞 2024年8月21日