指先の触覚解像度、電通大の測定でわかったこと
電気通信大学の祖父江迪瑠大学院生と梶本裕之教授らは、指先の触覚解像度分布を測定し、指腹から先端に向けて直線的に解像度が高くなることを明らかにした。従来説は高解像度と低解像度の2領域があると考えられてきた。触覚提示デバイスでは解像度の高い領域はより細かく刺激するなどデバイス設計に生かせる。
マイナスドライバーのように先端が直線状の接触子を押し当て、その向きを聞く評価方法を考案した。感覚が鈍い領域ほど正解率が低くなる。接触子は先端の厚みが0・5ミリメートル、幅が1ミリ―3ミリメートルのものを作製した。幅が狭くなるほど接触方向の識別が難しくなる。接触圧力はバネで15グラム重に統一した。
実験では人さし指の末節を16カ所ランダムな順番で押し当て方向を聞く。約5時間かかるため、5日に分けて試験する。
20代21人の触覚を測ると、先端から指腹にかけてほぼ直線的に解像度が変化していた。先端は解像度が高く、指腹は低い。指腹の中央よりも側面の方が解像度は低くなる。
従来は指先端の半球領域が高解像度、指腹は低解像度と二つの領域があると考えられてきた。ピンマトリックスのような接触子を束ねた触覚提示デバイスはピンの太さを解像度に応じて設計する必要がある。先端では細かく、指腹では太く設計することになる。
触覚は視覚と聴覚に続く提示デバイスに育つ可能性がある。現在は振動での提示が中心だが、情報の幅が広がると多様な表現が可能になると期待される。
日刊工業新聞 2024年8月8日