積水化学が80億円投資、「合わせガラス中間膜」タイで増産
積水化学工業は22日、約80億円を投じ、タイ工場(ラヨン県)に合わせガラス用中間膜の製造ラインを増設すると発表した。2026年度下期の稼働を予定する。生産能力は年間にして自動車700万台分増える。新製膜ラインでヘッドアップディスプレー(HUD)用くさび形中間膜を中心とする高機能製品群を手がける方針。
合わせガラス用中間膜は、2枚のガラスに挟み込むようにして自動車のフロントガラスなどで使う。光の屈折を利用するHUDで同社のくさび形を使うと、映像が二重に映る通常の中間膜と比べてくっきりと投影できるという。
同社は世界の自動車生産台数が年率1、2%程度で成長し、30年には9800万台に達すると予想する。中間膜は遮音膜や遮熱膜、カラー膜などのように高機能化した製品も多く、サイドガラスやルーフガラスなどでの採用が拡大中。補修需要も拡大しており、同生産台数を上回る需要を見込む。特に高機能な中間膜は年率5%以上の高い成長率で推移するとみる。
同社では17年下期にメキシコ工場(モレロス州)で遮音中間膜、20年下期にオランダ工場(ルールモンド市)でHUD向けくさび形中間膜の本格生産を開始している。
日刊工業新聞 2024年07月23日