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「蓄電池」国内1000人増強…パナソニックエナジー、「円筒形」で日米車載市場を攻略する

「蓄電池」国内1000人増強…パナソニックエナジー、「円筒形」で日米車載市場を攻略する

住之江工場内に開設した研究開発棟

日米2軸で競争力向上

パナソニックエナジーが蓄電池の製造や開発に関わる人材を増強している。国内では、技術者などを2022年度比で既に約900人増やした。人材の一部は生産設備や次世代材料の研究開発に従事する計画だ。25年度までに国内で1000人の増強を目標としており、日本・米国を中心とした蓄電池市場での競争力を高める。 (大阪・森下晃行)

パナエナジーは4月、車載電池を製造する住之江工場(大阪市住之江区)敷地内に、生産設備や量産技術の研究開発棟を開設した。25年には大阪府門真市でも次世代材料などの開発に使う研究開発棟を新設する計画だ。

これまでに増強した約900人のうち、一部の技術者などをこれらの施設に配置することで、国内最大規模となる蓄電池の研究開発体制を構築する。日本から生み出した新技術を米国工場などに展開し、電池性能や生産性の向上を目指す。

また、24年度内に稼働予定の米カンザス工場(カンザス州)周辺でも人材確保に動く。同工場では約4000人が勤務する見通しで、既に採用を始めた。米カンザス大と協力し、技術開発などに携わる専門人材の育成も進めていく予定だ。

パナエナジーは人材の増強により、円筒形リチウムイオン電池(LiB)で日米の車載電池市場を攻略する狙いがある。調査会社の富士経済(東京都中央区)によると、自動車向け二次電池の北米市場は50年に22年比8倍ほどの約19兆円に達する見込み。北米と日本の市場を合わせると、世界全体の約30%を占める。

足元では電気自動車(EV)市場の成長が鈍化しているものの、パナエナジーの只信一生社長は一時の過熱感が収まってきたとの認識を示す。「(市場は)想定のシナリオで成長している。戦略上はそこまで慌てることはない」と説明する。

一方、同社は30年度までに売上高3兆円超を目指す計画を掲げていたが、目標達成の時期を明言しなくなった。米国大統領選挙の結果次第でインフレ抑制法(IRA)など影響の大きい政策が変わる可能性があること、主要顧客である米テスラの販売が減速していることなど、先行きの不透明感が背景にあるとみられる。

パナエナジーはこれまで米国を車載電池の主戦場としていたが、日米2軸への方向転換を6月に発表した。只信社長は「事業展開のやり方を変えていかないといけない」と強調する。30年には蓄電池の国内生産の80%以上が、国内自動車メーカー向けになる見通し。増強した人材による技術開発の加速を通じて変化に対応していく。


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日刊工業新聞 2024年07月15日

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