中国から受け入れ…三菱電機ビルSOL、即戦力「外国人材」で人手不足乗り越える
あらゆる業界で人手不足が深刻化する中、三菱電機子会社の三菱電機ビルソリューションズ(東京都千代田区、織田巌社長)は、日本における昇降機の据え付け業務の現場で海外からの人材の受け入れを始めた。4月から中国人の施工技術者のほか、以前からベトナム人学生の教育・育成にも力を入れる。人手不足を緩和することで、受注の拡大や働き方改革の推進につなげていく。
三菱電機ビルソリューションズは4月から現地の協力会社を通じて7人の中国人技術者を受け入れており、3カ月以上の研修などを経て主に首都圏の高層ビル・マンションの高速エレベーターの据え付けを始めている。2025年度以降も受け入れ、施工台数の向上を狙う。中国では不動産市況の減速が長引いており、即戦力となる優秀な技術者を獲得しやすくなっている。
また、ベトナムで現地の学生を同社のグループ会社で直接雇用を始めている。大学の技術知識を持つ人材として採用し、育成後に現場に配置している。現在、50人以上が在籍しており、首都圏だけでなく関西や中部、九州の都市部を中心に業務にあたっている。
このほか、6月からエスカレーターを遠隔点検して故障の発生を抑制するシステムの発売も始めた。異常音などの故障前の兆候を自動収集し、適切なタイミングで技術者がメンテナンスをすることで故障を防止、省力化などへの貢献が期待できる。同様のシステムはエレベーターではすでに導入している。
同社では外国人技術者の受け入れ拡大やIT技術などを駆使し、人手不足を乗り越えていく構えだ。
インタビュー 採用と自動化を両輪に 社長・織田巌氏
織田巌社長に人手不足対応などを聞いた。(編集委員・小川淳)
―日本市場をどう見ますか。
「新規の需要はこれまでのようには難しいかもしれない。しかし、例えば東京・丸の内地区の大型オフィスビルなど更新需要は非常に大きく、力を入れていく。また、我々は昇降機の保守事業では業界1位のシェアを維持している」
―海外事業の展開は。
「メーン市場は日本市場だが、25年度には海外売上高比率が逆転し、5割を超す見込みだ。海外は伸びしろが大きい。例えばインドでは昇降機の新設需要が日本の数倍あると言われる。保守契約率も高く、魅力的な市場だ。ただ、大きい市場なので競争も激しい。品ぞろえの拡充などを進める」
―人手不足が深刻化しています。
「人手の確保によって我々のできる仕事量が規定される。また、労働時間の制約という課題もある。昇降機の設置工事で省力化や自動化を進めているが、やはり人手の確保と離職防止が重要だ。高等専門学校生に特化した採用パンフレットを作成するなど、採用活動を強化している」
―外国人の施工技術者の日本での受け入れを始めました。
「以前からベトナム人学生の採用をしていたが、4月から中国人の非常に腕の確かな技術者の受け入れを始めた。中国の市場が冷え込む中、ウィンウィンの関係ができたと思う。軌道に乗れば来年度も一定数の人に来てほしい」
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