ソフトバンクが実証成功、「ヌルフォーミング技術」とは?
ソフトバンクは成層圏を飛行する高高度無人機(HAPS)と地上基地局との周波数共用を実現するヌルフォーミング技術の実証実験に成功した。HAPSと地上基地局が同一の周波数帯の電波を利用した通信サービスを提供することで、有限な資源である複数の周波数帯を使うことなく効率的な電波の利用を可能にする。
HAPSと通信機器間のデータ送受信を担う「サービスリンク」向けのアンテナとしてシリンダーアンテナを採用。特定の方向に対する電波の放射を大幅に抑制して電波の干渉を防ぐヌルフォーミング技術の実証を行った。
具体的には、シリンダーアンテナを搭載した高高度係留気球基地局(上空基地局)の通信エリア内に地上基地局を設置。上空基地局の通信エリア内にある携帯端末と、地上基地局の通信エリア内にある別の携帯端末を地理的に近い場所に配置した。上空基地局と地上基地局で同一の周波数帯の電波を利用し、ヌルフォーミング技術の適用有無による通信速度の違いを評価した。
その結果、同技術を適用することで上空基地局エリア内の携帯端末の通信速度を大幅に低下させることなく、地上基地局のエリア内にある携帯端末の通信速度が改善した。
日刊工業新聞 2024年07月01日