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キヤノン・トヨタ…49社・団体が運用目指す、化学物質管理で横断基盤の狙い

キヤノントヨタ自動車など49社・団体が連携し、製品中の化学物質の情報を業界横断で管理する次世代プラットフォーム(基盤)の構築に乗り出す。製品に含まれる化学物質の種類や、規制の抵触の有無などを調査・伝達しやすい環境を整備し、サプライチェーン(供給網)全体で管理業務を効率化する。企業と業界団体によるタスクフォースでシステム開発や実証などに取り組み、2027年の運用開始を目指す。

共通の化学物質リストやフォーマットを活用し、業界によらず即時に情報伝達できる環境を整備する。国内外の既存データベースとの連携も視野に入れ、規制変更時に柔軟に対応できるようにする。電機・電子業界と自動車業界による連携から開始し、対象産業を順次広げる計画。製品中のリサイクル材など資源循環に関する情報をひも付け、把握できるようにすることも検討する。

経済産業省が主導するデータ連携基盤「ウラノス・エコシステム」を活用する方針で、同省がタスクフォースにオブザーバーとして参画した。ウラノスの活用や、ユーザー企業、部材に係るIDの検討など業界をまたぐ標準化の取り組みを支援する。ウラノスは現在車載電池の二酸化炭素(CO2)排出量算出サービスに利用されており、新たなユースケースの創出につなげる。

規制が変更されたり、新たに規制対象の物質が加わる際、最終製品メーカーは再調査が必要になる。多くの場合、川下から川中、川上の供給網をさかのぼり依頼・回答を繰り返す“バケツリレー”型のやりとりが行われる。特に化学や素材など川上メーカーに依頼が集中しやすい。また電機・電子と自動車は業界ごとの共通システムを運用するが、近年は電動化や次世代自動車の開発などで垣根を越えて供給網が広がり、調査業務の負担増につながっている。

足元では環境リスク低減のため、欧州や米国など世界各国で化学物質規制が強化され、法規制の複雑化が進む。業界横断で共通基盤を整備し、サプライチェーンを担う幅広い企業の負担軽減を図る。

日刊工業新聞 2024年06月18日

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