SiCウエハーの8インチ化に貢献、Mipoxが研磨装置開発
Mipoxは炭化ケイ素(SiC)8インチウエハーのエッジ部とノッチ部を連続で面取り加工できる研磨装置を開発した。研磨フィルムを使った独自工法で従来の砥石(といし)による研削から生産性を大幅に高め、SiCウエハーの8インチ化に貢献する。価格は標準仕様で約7500万円(消費税抜き)。初年度10台の受注を見込む。
SiCの加工に耐える専用研磨フィルムを開発した。1巻きでウエハー300枚を連続加工する。エッジ部とノッチ部の加工速度はウエハー1枚当たり160秒で、研削砥石方式の5倍以上という。研磨フィルムは交換時の機械調整も不要。
専用研磨フィルムの開発では樹脂系の材料を従来品から変更し耐久性を高めた。加えてダイヤモンド砥粒(とりゅう)を高密度化。またウエハーへの当て方を工夫し、研磨フィルムの負荷を小さくした。
SiCは硬度が高く、砥石研削方式では特に8インチウエハーのV字型のノッチ部を面取り加工すると研磨材が激しく摩耗する。量産加工に対応できず、8インチ化のネックになっていたという。
開発した研磨装置をウエハーメーカーやデバイスメーカーに販売し、SiCウエハーの8インチ化を支援する。自社での受託研磨加工サービスも実施。月にウエハー数百枚規模の受託を見込む。
SiCは高電圧、高温に強く、パワー半導体の材料として注目される。ウェーハプロセス部の山口直宏部長は「8インチ化が実現すれば、SiCが本来描いてきたロードマップに載ることができる」と期待を寄せる。
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日刊工業新聞 2024年6月13日