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約15トンまでの重量物運搬、戸塚重量が旋回式小型電動ローラー

約15トンまでの重量物運搬、戸塚重量が旋回式小型電動ローラー

開発した重量物運搬用旋回式電動ローラー

戸塚重量(埼玉県川口市、金子俊光社長)は、埼玉大学と共同で工作機械などの重量物運搬用の旋回式電動ローラーを開発した。従来の電動ローラーは前後しか駆動しないため、ハンドルと呼ばれる棒状の工具に人が体重をかけてローラーをずらして左右に旋回させていた。開発したローラーは前後駆動と旋回用の2台のモーターを搭載して自動化した。「1人で運べるコンパクトな旋回式電動ローラーの開発は海外も含めて初めて」(金子社長)としており、10月にも製品化して販売を始める。

戸塚重量が埼玉大学大学院理工学研究科の琴坂信哉准教授と開発した旋回式電動ローラーは、約15トンまでの重量物を運べる。二つのモーターで前後と左右の駆動を制御する。移動速度は毎分2・4メートル。コントローラーの前後左右のボタン操作だけで運搬可能で、従来は3―4人で行っていた重量物を1人でも運べる。大きさは幅約54センチ×長さ約48センチ×高さ約16センチメートル。重量は65キログラムで簡単に移動できるようコンパクト化した。

女性1人でも重量物の運搬が可能

旋回可能な海外製の電動ローラーはあるものの、サイズは幅約120センチ×長さ約90センチメートルと大型。重量も約300キログラムで1人では運べなかった。開発したローラーは小型化したことにより、中小企業がスペースの狭い工場に大型の工作機械を搬入する際に活用できるなど汎用性を高めた。

トクヨシ精機(埼玉県川口市)が設計製作を担当。今野製作所(東京都足立区)と連携して販売活動を展開する計画。価格は未定。

戸塚重量は1990年に設立。重量物の運搬やエンジニアリングを手がけていたが、運搬に必要なローラーの自社開発も手がけ重量物運搬用電動ローラー「ELEV」シリーズも製品化している。電動は前後駆動だけで旋回は人力だったことから、新たに旋回式電動ローラーを共同開発した。

19日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕する「機械要素技術展」に試作機を出展する。

日刊工業新聞 2024年6月13日

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