東工大発ベンチャーが「3D半導体」量産、台湾・群創光電に一貫ライン
東京工業大学発ベンチャーのテック・エクステンション(東京都世田谷区、福田匡志社長)は、台湾の現地法人を通じ、次世代の3次元(3D)集積向け半導体製造ラインを台湾の群創光電(イノラックス)のクリーンルーム内に設けることで同社と合意した。「ポスト微細化」となる開発と製造の一貫ラインを構築し、2025年後半にも量産化する。
導入するのは、東工大の産学研究プラットフォーム「WOWアライアンス」で得られたBB(バンプレス・ビルド)キューブ技術に基づく3D集積向けの製造ライン。従来の平置きのチップレットを3Dでコンパクトにし、バンプを使わずにシステムを小型化できる。
台湾国立成功大学をはじめ、日台の半導体関連の大学や研究機関、企業などと共同研究を行うほか、半導体の人材も育成する。福田社長は「99%オールジャパンの技術だが、日本には現在、作れる環境がない。フットワークの軽い台湾で製造を目指す」と話す。
テック・エクステンションは2018年、東工大の大場隆之特任教授が設立。ウエハー上にウエハーを接合しながら接続配線し、何枚も積み上げられる積層(WOW)技術と、チップレットをウエハー上に接合しながらWOW技術で配線する(COW)技術を持つ。DRAMなど同一チップサイズのウエハー積層の生産性を高め、高精度な加工が可能。「歩留まりの問題もクリアしている」(大場特任教授)という。
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日刊工業新聞 2024年6月5日