企業のIT投資意欲が堅調…情報サービス7社の通期見通し、全社増収
DX投資堅調でSI伸長
情報サービス7社の2025年3月期連結業績予想が9日までに出そろい、全社が増収となる見通しだ。デジタル変革(DX)の機運に伴う法人顧客のIT投資意欲は引き続き堅調で、各社が主力としているシステム構築(SI)事業が伸長する。好調な事業環境に伴う各社共通の課題の一つは技術者不足で、生成人工知能(AI)などの活用による生産性向上の成果創出が重要になりそうだ。
国内のIT需要は堅調だ。野村総合研究所(NRI)は増収、全利益段階で増益を見込む。「産業ITは国内を中心に成長をけん引し、金融ITも銀行を軸に伸長する見通し」(柳沢花芽社長)。苦戦していた海外事業は下期に回復する見込み。「24年3月期は海外事業の下振れ分を国内事業でカバー。25年3月期はバランスよく伸ばしたい」(同)。
海外事業が売上高の6割以上を占めるNTTデータグループは、中期経営計画の最終年度である26年3月期の売上高目標を4兆円から4兆7000億円に引き上げた。連結営業利益率の目標は10%で据え置き、営業利益を700億円増やす。事業拡大による営業増益のほか、NTTリミテッドとの海外事業統合による営業利益のシナジーで同期に400億円を見込む。
海外事業は4月より地域ごとの組織を設置するなど新体制が始まった。「コンサルティングなど付加価値の高いビジネスを加速するチームも作った。質の伴った成長を目指す」(本間洋社長)。
SCSKは注力事業領域の一つであるモビリティー事業の引き合いが特に強く「生成AIなどの活用による生産性の向上を考えないと対応しきれない」(当麻隆昭社長)状況という。生成AIの活用は各社も力を入れており、25年3月期は生産性向上の施策が進む1年となりそうだ。
日刊工業新聞 2024年05月10日