「ペロブスカイト太陽電池」など応用へ、三菱商事とデンカが炭素材料「フラーレン」の生産・販売で業務提携
三菱商事とデンカは24日、太陽電池などに使う炭素材料「フラーレン」の生産・販売で業務提携したと発表した。三菱商事傘下でフラーレンの製造を手がけるフロンティアカーボン(東京都千代田区)の株式をデンカが50%取得し、三菱商事と共同で運営する。スマートフォンのセンサー材料としても需要拡大を見込むフラーレンの品質向上や量産体制の構築を進める。
フラーレンは炭素原子がサッカーボール状の構造を持つ分子(イメージ)で、高い電気抵抗や熱安定性などの機能を備える。すでに有機薄膜太陽電池の発電層に使われているほか、薄く柔軟性のある次世代電池「ペロブスカイト太陽電池」の材料として電気自動車(EV)などへの最終応用も検討されている。
今後はデンカのカーボンナノ材料分野の知見などを生かし、フラーレンの品質向上を図る。さらに2027年をめどに数十億円を投じてデンカの工場を増強し、生産体制を拡充することも検討する。
三菱商事は01年にフロンティアカーボンを設立し、フラーレンの開発や用途開拓を進めてきた。今回のデンカとの業務提携を通じ、成長が見込まれる脱炭素分野などの需要のさらなる取り込みを狙う。
日刊工業新聞 2024年4月25日