車載電池部材の樹脂化提案、住友ベークライトがEV軽量化需要狙う
住友ベークライトは車載電池部材の樹脂化提案を強化する。モジュール部材やカバー、トレーなどに熱硬化性樹脂を用いたソリューションを構築。欧米や国内の電池メーカー、電気自動車(EV)メーカーを中心に売り込み、同市場で2024年度の採用を目指す。EVでは航続距離延長を見据え、軽量で加工性に優れる樹脂材料が注目されている。高耐熱性や高強度など熱硬化性樹脂の特徴を生かした成形材料を展開することで、電動化需要の取り込みを図る。
住友ベークライトはこのほど、一部部材が中国メーカーから採用された。部材にフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの成形材料を活用したもので、車載電池の800ボルト化(高電圧化)に対応可能なほか、燃焼や異常発生時の変形を防ぐなど安全性も担保する。他地域への拡大も目指す。
電池モジュールではバスバーとセンサー、冷却チャネルを一体化することで組み立て工数の削減に寄与。さらにセル間ユニットの熱暴走を防ぐため、樹脂製防火シートで複数のセルを覆う筐体(きょうたい)構造として結合するなど、新たな構造を提案する。熱硬化性樹脂を用いた一連のソリューションによって、エネルギーの高密度化や長寿命化などに貢献できる。
矢野経済研究所(東京都中野区)によると、車載用リチウムイオン電池(LiB)の世界市場は容量ベースで約1000ギガワット時規模(22年は同622ギガワット時)に拡大する見通しだ。また急速充電性能の向上や省スペース化などのニーズから、今後はEVの電池電圧が現在主流の400ボルト程度から800ボルト程度に移ることが見込まれている。これに伴い、高電圧化を支える関連材料の需要拡大が期待される。
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日刊工業新聞 2024年04月04日