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「車載封止材」販売100億円超え…住友ベークライトが戦略製品の展開加速

「車載封止材」販売100億円超え…住友ベークライトが戦略製品の展開加速

※イメージ

住友ベークライトは戦略製品に位置付ける車載向け封止材の販売額が2024年度に100億円を超える見込みだと明らかにした。電動車(xEV)に使うモーター磁石固定用、電子制御ユニット(ECU)用、パワーモジュール用の封止材を「戦略3製品」とし、25年度に合わせて120億円(23年度は同約80億円予想)の販売計画を掲げる。「達成の前倒しも狙う」(藤原一彦社長)意気込みで、グローバルで事業を強化する。

住友ベークライトはエポキシ樹脂系の半導体封止材で世界シェア首位を握り、近年は車載分野に用途を拡大させている。放熱性向上などのニーズから、電動化部品への封止材の採用が進んでいるという。例えばモーター磁石を従来の液状樹脂による固定から充填性に優れたエポキシ樹脂封止材に切り替えることで、強度や放熱性が高まる。高速回転が可能となり、小型化や軽量化に貢献する。直近ではモーター外側のステーター向け封止材の量産を開始するなど3製品に次ぐ新たな柱の構築にも取り組む。

車載用封止材は欧州と国内を中心に実績を積み上げており、日本を含むアジアと欧米の両地域で「地産地消」体制を構築している。今後は日欧に加えて、米国メーカーや中国の電気自動車(EV)関連など顧客開拓を継続して行う。また開発面ではEV普及拡大を見据え、トータルコスト低減などの技術提案にも注力する方針だ。

調査会社の富士経済(東京都中央区)は、世界の新車販売に関して30年までにEVが内燃車の販売台数を上回り、35年には乗用車の主役がEVに移行すると予測する。モビリティーの電動化を追い風に、半導体封止材技術の自動車分野への展開を加速させる。

日刊工業新聞 2024年01月11日

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