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UBEは黒字転換…機能化学8社の通期予想、半導体回復・値上げ浸透で6社当期増益

UBEは黒字転換…機能化学8社の通期予想、半導体回復・値上げ浸透で6社当期増益

信越化学工業公式サイトより

機能化学8社の2024年3月期連結業績予想は、6社が当期増益、UBEは黒字転換を見込んでいる。下期にかけて半導体・電子材料の需要回復や石油化学製品市況の底打ちを見込むほか、製品値上げが浸透する見通し。また、足元では自動車関連の需要が回復傾向にあり、車メーカーによる挽回生産本格化にも期待がかかる。

UBEはセメント事業を手がける持分法適用会社の黒字化を織り込む。さらに足元で低迷が続くナイロンやナイロン原料は「自動車生産や繊維需要が徐々に回復し利益が戻る」(石川博隆執行役員最高財務責任者〈CFO〉)と予想する。

トクヤマも製品値上げによりセメント事業の赤字が解消され、化学品でも価格転嫁が浸透することから増収増益を見込む。カネカはエレクトロニクス関連材料や樹脂改質剤などの需要が7月以降本格回復すると見通す。

JSRはフォトレジストなど半導体材料の需要が「下期から回復基調に転じる」(エリック・ジョンソン最高経営責任者〈CEO〉)と予想。半導体市場に関して「工場稼働率や在庫水準は健全化に向かっている」(同)と分析する。

一方、信越化学工業は、半導体ウエハー事業で「顧客の在庫調整が当初予想より長引く傾向にある」(轟正彦取締役専務執行役員)とし、先行きに慎重姿勢を示す。同社は通期業績予想を非開示とした。

23年3月期連結決算は5社が当期減益。UBEは持分法適用会社の赤字に伴う損失やナイロン需要低迷などで19年ぶりの当期赤字となった。信越化学工業は北米の塩ビ販売などが堅調で最高益を更新。住友ベークライトは半導体封止材や成形材料が顧客市場の減速影響を受けたが、医薬品包装材などのヘルスケア関連が堅調に推移し当期増益を確保した。


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日刊工業新聞 2023年05月17日

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