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部門長にもジョブ型拡大、帝人が刷新する人事・評価制度の中身

部門長にもジョブ型拡大、帝人が刷新する人事・評価制度の中身

帝人はジョブ型人事制度拡大で適所適材の実現を図る

帝人は4月からジョブ型人事・評価制度を部門長級まで広げた。対象は約30ポストとみられる。同社は2023年4月から役員を対象にジョブ型人事・評価を導入している。役員の下の階層に対してもジョブ型を導入し、一貫性を持たせることで、帝人グループとしてグローバルレベルでの適所適材の実現を目指す。

ジョブ型の導入により、対象者には従来の役割をベースとした処遇から、職務評価に基づいた処遇を行う。一方で、経験やチームワークが重視される工場のオペレーターなどの職種にはジョブ型が適さないと認識。今後はそれぞれの事業や職種に応じて、ジョブ型とメンバーシップ型を組み合わせたハイブリッド形式で人事・評価制度の運用が進むとみられる。

帝人では収益性改善や成長戦略の実現に向けて、23年4月1日に役員制度を改定。その一環として、役員クラスからジョブ型人事・評価制度を導入した。各ポジションにおける役割・責任と処遇の関連性を明確化するほか、人事・評価のプロセスを適切に整えることで、執行役員を担える人材を世界でより柔軟に配置できる体制へとつなげた。

日本では能力に応じて処遇する「職能給」を運用してきた企業が多い。年齢や勤続年数に比例して能力が高まるとみなされる傾向があり、担当業務の難易度や成果に応じた報酬が支払われにくいなどの課題が指摘されている。対応策としてジョブ型を検討・運用する企業が増えつつある。

NTTは職務の重さに応じて設定した「ジョブグレード」に基づいて処遇を決める制度を21年10月から課長級以上の管理職に導入。23年4月には一般社員向けにも専門性を重視した新たな人事給与制度を始めた。三菱電機は24年4月、管理職や高度専門人材を対象にジョブ型を導入した。

日刊工業新聞 2024年4月4日

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