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従業員のラッキング時間45%短縮…吉野家の食器はロボットが洗う

従業員のラッキング時間45%短縮…吉野家の食器はロボットが洗う

視触覚センサーから取得した画像情報に基づいて、汚水の中で皿をハンドリングするために必要な情報を取得。

フィンガービジョン(東京都文京区、濃野友紀社長)は、牛丼チェーンの吉野家(東京都中央区)と牛丼店舗向け食器洗浄ロボットを共同開発する。吉野家の国内約1200店舗で、汚れた食器を従業員が浸漬槽から一つずつ取り出して洗浄機のラックに乗せる工程を自動化する。都内店舗での実証などを通じて改良を進め、早期の実用化を目指す。

牛丼など米飯類のメニューはどんぶり容器に飯粒がこびりついて洗浄でもなかなか落ちないため、浸漬槽に浸して落ちやすくする必要がある。浸漬槽からの食器取り出し作業は、従業員の手や腕の汚れを伴い手荒れのリスクやけがのリスクにつながるため、自動化ニーズが根強いという。

一方でロボットの実装には、食器の種類の多さや油でヌルヌルするためハンドから滑り落ちる危険性もある。

両社は今回、フィンガービジョンの視触覚ロボットハンドを活用。人の指と同じ動作でつかむため、どんぶりや湯飲みなどさまざまな食器に対応でき、つかんだ食器が滑り落ちるリスクも防げる。

両社は実店舗で試験ロボの実証を実施し、従業員によるラッキング時間を約45%短縮する成果を得ている。今後、自動化の範囲をさらに広げて労働環境の改善を目指す。

日刊工業新聞 2024年4月4日

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