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原子力機構、耐火ハイエントロピー合金 脆性・延性の因子解明
日本原子力研究開発機構の都留智仁研究主席らは、新規の構造用金属材料として注目されている「耐火ハイエントロピー合金」の脆性や延性に関する因子を明らかにした。温度変化を考慮した実験や原子・電子の動きを予測するシミュレーションで解析。チタン系の耐火ハイエントロピー合金は室温以下でも強度と延性を示し、電子の結合状態の効果であることが分かった。次世代の高温構造用途に向けた材料開発につながると期待される。
京都大学との共同研究。成果は、英ネイチャー姉妹誌に掲載された。
チタン系とバナジウム系の2種類の合金で圧縮試験を実施。チタン系の同合金は広い温度域で強度と延性で優れた特性を持つことを確認した。シミュレーションでは、チタン系の強度について、大きな歪みによる効果であることが分かった。チタンやジルコニウム、ハフニウムなどの第VI族元素(HCP元素)が関与している可能性があることを見いだした。
耐火ハイエントロピー合金はチタン系とバナジウム系の2種類が研究されており、強さや延びが異なることが報告されている。だが、その要因は解明されていなかった。
日刊工業新聞 2024年03月08日
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