航空機エンジンの燃費向上…1400℃耐久セラ複合材、IHIなど技術開発
IHIと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、1400度Cに耐えるセラミックス複合材料(CMC)技術を開発した。航空機エンジンが飛行中に砂や火山灰を吸い込んでもタービンが浸食されにくい。1400度Cの腐食試験に400時間かけても腐食反応は最表面のみにとどまった。強度低下は20%以下に抑えられた。部材の耐熱性が上がると航空機エンジンの燃費が向上する。
火山灰などがエンジンに吸い込まれるとカルシウムやマグネシウム、アルミニウム、ケイ素の酸化物が高温で溶融してCMCの侵食を加速する。これを耐環境遮蔽層(EBC)で保護する。熱力学計算でEBC組成を最適化してCMC上に溶射成膜して実験すると、1400度C、400時間の腐食試験に耐えた。従来は3時間で激しく損傷してしまう。実際のエンジン環境を模した耐久試験では100時間後も剥離や減肉はほとんど見られなかった。
CMCは炭化ケイ素(SiC)繊維の製織仕様などを改善してCMC中の欠陥を大幅に抑えられた。希土類ケイ酸化物を織物内に含浸してから共晶点組成の酸化物を溶融含浸させる。すると耐熱性と耐水蒸気酸化性が優れた酸化物マトリクスが形成された。
NEDOの次世代複合材創製・成形技術開発プロジェクトで開発した。CMCは重量が耐熱合金の3分の1程度になるため耐熱性と軽量化を両立できる。1300度C級のCMCが航空機エンジンに採用されている。詳細は14日から熊本大学で開かれる日本セラミックス協会2024年年会で説明する。
日刊工業新聞 2024年03月14日