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微小な金属異物を検出、旭化成が繊維・フィルム製造向けシステム開発

微小な金属異物を検出、旭化成が繊維・フィルム製造向けシステム開発

旭化成はミリ波などを使って微小な金属異物を検出できるシステムを開発(繊維計測用空洞共振器)

旭化成はミリ波やマイクロ波の技術を活用し、製造工程上の繊維やフィルムなどに含まれる微小な金属の異物を検出できるシステムを開発した。フィルム向けでは従来製品と比べて64分の1、繊維では同100分の1となる微小な体積の金属を検出できる。食品や医薬品、半導体、石油化学など幅広い産業向けに提案できるとみている。引き続き性能を高めるなどして2026年中の製品化を計画する。

開発したシステムは特定の寸法で金属の壁を設計・製作し、その壁で囲まれた空洞を持つ容器「空洞共振器」を使う。ミリ波やマイクロ波を空洞共振器に流し、空洞共振器の中に検査対象物を通過させる。対象物が通過した際、電気エネルギーを与えた時の金属による共振器内の環境変化を捉えることで、微小な金属の異物を検出できるという。

検査対象物は粉体にも使えるほか、水以外の液体にも利用できる。対象物によってミリ波やマイクロ波を使い分ける。同システムを用いることでフィルムでは直径50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、繊維向けだと同1マイクロメートル、長さ300マイクロメートルまで微小な金属の検出が可能という。

従来のフィルム向けでは磁気やX線などの手法を用いたインライン検査機を用いているが、直径200マイクロメートルの金属微粒子の検出が限界だったという。繊維向けでも従来法では直径3マイクロメートル、長さ5ミリメートルの金属が下限だった。このため微小金属の混入対策が課題となっていた。

ミリ波は車間距離を測るなど自動車向け安全システムとして普及しつつあり、コスト面でも従来製品と遜色のないシステムが提案できるとみている。


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日刊工業新聞 2024年3月12日

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