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東京農工大が密閉空間内の物体冷却を実現、「メタマテリアル熱電発電」の効果

東京農工大が密閉空間内の物体冷却を実現、「メタマテリアル熱電発電」の効果

メタマテリアルの電子顕微鏡図(左上は拡大図)

東京農工大学の久保若奈教授、川村直矢大学院生は理化学研究所の田中拓男チームリーダーらと共同で、熱エネルギーを集めて電気に変換する「メタマテリアル熱電発電」によって、密閉空間内の物体を冷やす非放射冷却を実現した。従来の水冷や空冷技術と併用することで、高集積の電子デバイスをより効果的に冷やせると期待される。

研究グループは、熱エネルギーを集めて吸収し、構造内に閉じ込める効果を持つ人工材料のメタマテリアルと熱電変換素子を接触させることで、密閉容器内部の熱エネルギーを電気エネルギーとして容器外に排出し、容器内の温度を下げられることを確認した。

熱エネルギーを電気エネルギーとして外部に排出し、物体を冷却するという新たな機構として非放射冷却と名付けた。これにより、高集積電子デバイスパッケージ内にこもる熱を回収し、排出することが可能になる。メタマテリアルの数を増やせば、冷却効果をさらに高められる。

近年、電子デバイスの高集積化に伴い、デバイスにこもる熱量は増加の一途をたどる。半導体デバイスは高温下で動作が不安定になる問題があり、大規模な集積電子デバイスを効率良く冷却する技術が求められていた。

科学誌ACSフォトニクスに掲載された。

日刊工業新聞 2024年03月07日

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