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量子プログラミング言語の商用版、イスラエル企業が日本投入

量子プログラミング言語の商用版、イスラエル企業が日本投入

クラシックはグローバルでは英OQCなどと提携している(OQCの32量子ビット機で使われているプロセッサー)

イスラエルのクラシック・テクノロジーズ(テルアビブ市)は、量子回路の自動合成を実現する量子プログラミング言語「QMOD(キューモッド)」の商用版を2024年度中に日本市場に投入する。量子ビット状態を精密に制御するゲート型量子コンピューター向けに、特定のハードウエアに依存しない量子ソフトウエア開発の「標準言語」として普及を図る。日本では24年度中に協業パートナー5社の獲得を目指す。

クラシックは20年創業の量子ソフトウエアのスタートアップ。量子アルゴリズム(計算手順)の生成や実行などを包括的にサポートするプラットフォーム(基盤)を提供している。

QMODはその集大成となり、量子ゲート操作の専門知識がなくても、関数やアルゴリズムなどのライブラリー(再利用可能なモジュール)や視覚的な操作環境を活用し、複雑な機能や処理を分かりやすく抽象化した使い勝手のよい開発環境を実現する。

量子ソフトの開発者は実行したい処理をライブラリーなどを用いて記述すれば、量子ビット数の増減にかかわらず、量子回路の合成から量子ゲートの操作まで自動化できる。

QMODに関してはこれまで海外を中心に一部の先進ベンダーや研究者とともに概念実証(PoC)を行ってきたが、ここ1、2年でゲート型量子コンピューターの規模拡大が進んでいる。こうした潮目の変化を商機と捉え、QMODの商用化でアクセルを踏む。

クラシックはグローバルでは米エヌビディア、米マイクロソフト、英オックスフォード・クァンタム・サーキッツ(OQC)などとパートナー契約を結んでいる。日本では23年に立ち上げた日本法人のクラシック・テクノロジーズ(東京都千代田区)を通じて、システム構築(SI)会社やコンサルティング会社との協業を促進する。

一般に、量子コンピューターによる解析やシミュレーションは数十量子ビットならばオープンソースの開発キットなどを用いて人手でも可能。1000量子ビット超となると人手では限界があり、半導体や電子製品の設計自動化(EDA)ツールのような統合的な開発環境が求められる。QMODはこうした機能を実装し、量子コンピューター向けに提供する。

日刊工業新聞 2024年03月04日

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