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量子ビット数2倍以上…理研が開発する量子コンピューター国産4号機の性能

量子ビット数2倍以上…理研が開発する量子コンピューター国産4号機の性能

※イメージ

理化学研究所量子コンピュータ研究センターは、2024年度に144量子ビットの量子コンピューターを開発する。64量子ビットの国産初号機と比較すると2倍以上の量子ビット数になる。量子ビットの操作精度などを向上させて計算の“質”を向上させる。産業界などと連携し、量子コンピューターの実用化を推進する。理研の超電導方式の技術を応用して富士通が実用化した2号機と、大阪大学で稼働した3号機に続いて4番目になる。

量子計算機は実用化に向け、計算エラーを気にせずに使える「誤り耐性」が求められている。実現には100万量子ビットが必要とされるが、質を高めると必要な量子ビット数をケタで削減できる。

理研では2―3%あった読み出しエラー率を1・2%まで低減できた。単量子ビットでの実験では0・3%まで低減できており、量子ビットの集積チップに実装して技術を確立する。誤り耐性に必要な読み出しエラー率は1%弱とされており、大きな前進といえる。量子ゲート操作なども含めて計算の質を高めていく。

先行する米IBMは28年まではエラー抑制、29年にエラー訂正の量子コンピューターを発表する計画。誤り耐性の実現には時間がかかる。12月に1121量子ビットのプロセッサーを発表したが主力機は133量子ビットだ。エラー訂正などの質向上に力を入れると表明した。量子ビットの量から質へと焦点が移り、実際に計算した結果で評価されるようになってきている。

日刊工業新聞 2023年12月27日

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