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「再生医療」拡充、帝人が新拠点で生かす強み

「再生医療」拡充、帝人が新拠点で生かす強み

三井リンクラボ柏の葉内に構えた「柏の葉ファシリティ」

製造・開発受託の新拠点稼働

帝人が再生医療分野の開発・製造受託(CDMO)事業を拡充している。2月には同事業の専業会社、帝人リジェネット(東京都千代田区)の拠点として千葉県柏市に「柏の葉ファシリティ」を開設。大学や研究機関が近い立地や国内外バイオ関連企業との連携を生かし、治験製品の製造などを担う。再生医療事業を新規事業の一つと位置付ける中で、市場成長と共に事業拡大を実現できるかが問われている。(狐塚真子)

「製薬会社は創薬にフォーカスし、治験薬製造や本製造はCDMOに任せることがトレンドになっている。(その中で柏の葉は)地の利を生かしたプラットフォームだ」―。帝人リジェネットの田中泰至社長は、新拠点の強みをこう認識する。

柏の葉エリアには大学や研究機関が多数所在する。新拠点は国立がん研究センター東病院に隣接しており、臨床までのスピード感が優位性となるとみる。

新拠点の総投資額は10億円以上。顧客は大手製薬企業やスタートアップなどさまざまだが、足元ではがん患者自身の免疫細胞を強化する療法「CAR―T細胞療法」の需要が大きいという。3月からプロセス開発を始め、2025年にはフル稼働となる見通しだ。

培養室4室と試験室を整備。10件程度のプロジェクトに同時に対応できる

帝人グループは21年にジャパン・ティッシュエンジニアリング(J―TEC)をグループ会社化し、再生医療CDMOに参入。23年8月に帝人から会社分割した帝人リジェネットは、7月にも新規CMO(製造受託)拠点「岩国ファクトリー」(山口県岩国市)に商用生産設備を完成する。同施設の床面積は2400平方メートルで、3―6製品の同時製造が可能な設計とした。治験薬から商用生産まで一貫した製造体制を構築する。

24年度中には柏の葉と岩国、J―TECのある愛知県蒲郡市と3拠点体制が確立することになる。田中社長は「それぞれの空き状況を管理しながら、早く製品を(患者の元へ)届けるのがミッション」と話す。再生医療等製品の開発・製造に用いる原材料の供給で業務提携する国内外企業との連携体制も生かし、事業拡大を狙う。

再生医療事業は現在、帝人の「コーポレート新事業本部」内に置かれている。J―TECの再生医療製品なども含め、グループの再生医療事業は30年度の売上高を200億円規模と見込む。足元では多くの国内企業がCDMO事業の強化に向けた積極投資を図る中、グループの強みを生かした事業展開が重要となりそうだ。


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日刊工業新聞 2024年02月20日

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