半導体後工程の自動化加速、ロームが量産ライン実証へ
ロームは半導体の高品質化と製造コスト削減に向け、後工程量産ラインの自動化に着手する。後工程は人手が介在する工程が多く、自動化が進んでいない。大量生産ラインで自動化し、高品質なデバイスを高効率に安定供給できる体制を整える。2024年から国内工場で実証し、25年以降にタイやフィリピンにある後工程工場の一部から順次導入する計画。
ロームは多品種少量生産ラインで品質のバラつきを減らすため、自動化を推進。多品種少量生産品向け自動化後工程ライン「フレキシブルライン」を実用化している。この設計ノウハウを要素技術として活用し、大量生産対応技術を開発する。
すでに半導体の大量生産に対応した後工程自動化システムを設計中。市販の半導体製造装置に材料などを供給する自動化設備などを開発し後付けする手法を中心に検討し、半導体製造装置を内製化することも視野に入れる。
国内の実証では性能や投資対効果などを見極める。25年以降に海外工場での導入を目指す。ディスクリート製品のほか、大規模集積回路(LSI)製品でも適用する方向だ。
半導体ウエハーに回路を形成する前工程と比べ、後工程は自動化が遅れているとされる。フレキシブルラインは高品質な半導体の製造を実現するため、品質のバラつきの原因となる人の介在を極力減らした。同社によると一般的な生産ラインが5億個中約3万個の不良品割合であるのに対し、フレキシブルラインでは5億個中1個を実現した。21年から生産子会社のローム・アポロの広川工場(福岡県広川町)で同ラインが稼働している。
松本功ローム社長は「(フレキシブルラインは)不良品を出さないというロームのモノづくりの原点を体現したライン。この要素技術を海外工場の大量生産ラインに展開する」としている。
【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社
日刊工業新聞 2024年02月22日