前処理工程10分の1に簡素化、共同技研化学が無電解メッキ用下塗り剤開発
共同技研化学(埼玉県所沢市、浜野尚社長)は、無電解メッキの前処理工程を10分の1程度に簡素化できる高機能プライマー(下塗り剤)を開発した。基材にプライマーを塗布・乾燥するだけで高品質のメッキ層を形成できる。工程集約で生産性を向上できるほか、省資源化など環境にも貢献できる。今後、電子部品や自動車などでの採用を提案する。
開発したのは無電解メッキ用プライマー「メタピアン」。溶液の粒子径が50ナノ―150ナノメートル(ナノは10億分の1)と微細なため、沈殿しにくく、分散安定性に優れるのが特徴。樹脂やセラミックス、不織布などの非導電素材に均一なメッキを形成できる。330度Cまで耐熱性があり、高温条件下でも密着性を維持する。
無電解メッキは電気を使用せず、メッキ液に浸漬することでメッキを形成する。3次元形状や異形曲面に対応できるほか、厚みが均一で、配線パターンにメッキすることが可能だ。通常は脱脂やエッチング、水洗など10―20以上の前処理工程が必要だった。
メタピアンは基材への塗布と乾燥の2工程で前処理が済むため、大幅な工程短縮が可能。メッキ処理液に使う環境負荷物質などを抑え、廃液の減量化や原料削減にもつながる。価格は1キログラムで数万円程度を想定している。
日刊工業新聞 2024年02月16日