ニュースイッチ

「座る」技術を追求したシート製品群を展開 ―部門の垣根を越えて社員が交わり、知恵を結集

理工系×企業ジョブマッチング/テイ・エス テック
記者の目/ここに注目
□自動車・二輪車の安全・安心を支える製品をグローバルに供給
□完成車メーカーに引けを取らない、最新の開発・製造設備を導入

常に先を見据えた研究開発

二輪車用シートや四輪車用シート、ドアトリムなどの開発と設計、製造、販売を一貫して手がけるテイ・エス テック。四輪車向けでは、ホンダが世界で生産する自動車の約6割にシートを供給している。二輪車向けではホンダ、スズキ、ヤマハ、川崎重工業ら国内大手の全メーカーにシートを供給し、国内シェアのトップを誇る。ハーレーダビッドソンやフォルクスワーゲンなど海外メーカーの製品も手がけ、グローバルで事業を展開する部品サプライヤーだ。一方で、主力製品のシートで培ったノウハウをもとに、医療用チェアやさまざまな場面で使用されることを想定した「座る」に関する製品を提供し、顧客と事業分野を広げている。

取締役 常務執行役員 開発・技術本部長
鳥羽 英二さん

シートはユーザーが直接触れる製品であり、安全性やデザイン性、また快適性など妥協は許されない。開発から製造に至るさまざまな工程で、最新技術を積極的に導入してきたことが、国内外の大手メーカーから信頼を寄せられる同社の製品供給を可能にした。例えば、安全評価解析に関しては、2004年に「ダイナミックスレッド試験機」を日本で最初に導入。国内に2台、北米に1台を保有する。人体ダミーを使用して衝突時の衝撃を正確に再現し、このデータをシミュレーション解析(CAE)することで、より高度な安全性を追求する。製品の強度や座り心地、しわの発生といった素材特性、内装照明の光り方などもCAEを活用し、開発の精度向上と短期化に取り組んでいる。

他にも、乗車時の揺れを忠実に再現する6軸加振機やモーターの稼働音質を正確に測定するための半音響室などを保有し、細部にわたるさまざまな項目を検証。外観品質や耐久性向上、軽量化を目指した素材研究も行い、常に「今を超える」“安全性と快適さ”を実現する製品開発を進めている。

また、より安定した品質とより効率的な生産体制を実現するため、金型製作や自動化など、製造技術の開発にも積極的に取り組んでいる。製造技術を蓄積し、開発から量産に至るさまざまな工程でリードタイムの短縮を図っていることが、製品をより安く提供する同社の競争力の源泉になっている。

次世代の車室空間を体験できるXR Cabin
ダイナミックスレッド試験機での試験前準備

モノづくりを通じた人材育成

テイ・エス テックは、研究・開発、営業、購買、品質管理など機能別組織制でありながら、製品開発やプロジェクトなどを部門横断で効率的に進める体制を敷く。最新の技術を積極的に導入し、高機能な製品の開発と効率の良い生産体制を構築するとともに、機能別組織と部門横断の良さを活かしながら会社の将来を担う人材育成にも戦略的に取り組んでいる。

開発・技術本部長を務める鳥羽英二取締役は、「部門横断型で仕事を進めることにより、多様な考えに触れることができ、社内のネットワークも広がるなど、社員の成長につながっている」と説明する。さらには、社員それぞれの経歴や能力に応じた“学びと成長”を促すために、階層別研修や選抜研修などの制度に加え、OJTを通じた独自の仕組みでも社員のリーダシップや仕事への意欲を引き出している。

自動車業界は大変革期の真っただ中にあり、刻々と変化する市場のニーズに応え続けるためには、従来の考え方や方法に満足せず、新たな価値創造に向けた挑戦が必要となる。そして、課題や困難に遭遇したとしても、目標達成に向けて社員一人ひとりが考え、行動をし、粘り強く取り組むことが求められる。「研究・開発をはじめ、どんな仕事でも時にはうまくいかないことがある。そんな時、失敗自体を“悪”と捉えるのではなく、“成長機会”とすることが大切だと考えている。困難に対してどのようにアプローチして、成功へと導いていくか、その場しのぎではなく、本質を見抜ける社員を育てたい」と鳥羽取締役は語る。多様な人材とその良さを認め、背中を押すことで成長を実感できるように、マネジメント層も知恵を絞り続けている。

理系出身の若手社員に聞く
成長機会を活用して価値の創造につなげる

開発・技術本部 商品開発部 商品開発課
尾崎 拓也さん
(東洋大学大学院 総合情報学専攻2019年入社)

モビリティ市場やライフスタイル、消費行動などの動向調査を参考に「こんな商品があったらいいな」という思いをカタチにしています。若手でもアイデアを積極的に提案し、新しいことに挑戦できる環境があり、試行錯誤の末に出来上がった成果物に対し、お客さま から「面白い!欲しい!」という声を聞けたときはやりがいを感じます。 さらに、展示会視察や有識者との意見交換など、スキルアップの機会が多々あり、それらの経験を基にさらなる価値の創造へとつなげています。

会社DATA
所在地  埼玉県朝霞市栄町3-7-27
設立   1960年12月
代表者  代表取締役社長 保田 真成
資本金  47億円
従業員数 (単独)1710人、(連結)15171人
事業内容 四輪車用シート、四輪車用内装品、二輪車用シート、
     二輪車用樹脂 部品などの製造販売
URL   https://www.tstech.co.jp/

特集・連載情報

スキルを活かす!理工系×企業 ジョブマッチング
スキルを活かす!理工系×企業 ジョブマッチング
2025年卒の理工系学生必見!日刊工業新聞特別取材班が上場企業から中堅・中小企業まで独自の技術や製品・サービスを持つ優良企業の特長や将来性、業界での優位性、働き甲斐などについて第三者の視点で紹介します。

編集部のおすすめ