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UACJが6年ぶりトップ交代、新社長の素顔

UACJが6年ぶりトップ交代、新社長の素顔

田中次期社長(右)と石原社長

UACJは30日、田中信二取締役常務執行役員(61)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。石原美幸社長(66)は代表権のない取締役会長に就く。社長交代は約6年ぶり。2024年度からの次期中期経営計画に新たな経営体制で臨むことで、アルミニウムの素材力を通じて持続可能性の追求を含めたグローバル展開を加速する考えだ。

「重責を全うすべくこれまでの知見も生かしながら、新しいUACJをリードしていきたい」。30日開いた会見で田中氏はこう抱負を述べた。

田中氏は住友軽金属工業出身。名古屋製造所(名古屋市港区)製造部長やタイ法人副社長などを歴任し、グローバルでのモノづくり現場に精通する。構造改革本部長を務めたほか、23年4月からはサステナビリティ推進本部長として手腕を発揮してきた。

UACJは30年に向けた長期経営ビジョンを踏まえた24年度からの新中計を策定中。新体制でグローバルでの持続可能な取り組みを推進する。

田中氏は「軽さや熱の伝えやすさだけでなくリサイクル性に優れるアルミが持つ力は大きい。アルミの素材力を上手く使いながらリサイクル性を生かして新事業を創出していきたい」と意気込んだ。

石原氏は会長として「企業理念の全社グループへの浸透は道半ばなので取り組みたい」と語った。

【略歴】田中信二氏 87年(昭62)岐阜大院工学研究科修了、同年住友軽金属工業(現UACJ)入社。18年執行役員、21年取締役執行役員、22年取締役常務執行役員。愛知県出身。

素顔/UACJ社長に就任する田中信二(たなか・しんじ)氏・諦めない姿勢、信頼得る

「度胸も決断力もあり(慎重派の私としては)うらやましい」。名古屋製造所で田中氏と共に働いていた石原氏は当時を振り返りこう評価する。冷間圧延工程の管理者をしていた田中氏のスピード感のある判断力が印象的で、良い出会いだったという。

社長に指命された理由の一つがグローバルな視座を持つこと。30年近く生産現場を担当してきたのち赴任したタイ拠点は立ち上げ直後だった。タイ人の社員とは言語や仕事に対する考え方の違いに苦しんだが、対話を通じて信頼関係を築き稼働にこぎつけた。やり続ける、言い続ける、諦めない姿勢でグループの構造改革もやり遂げた。

石原氏がタイを訪れた際、「ホテルにまで来て、今後の展望について語ってくれた」という熱い一面も。財務など新たな役職に就く時は熱心に勉強する姿にも信頼が集まる。

休日はゴルフに興じるが「自慢できるスコアでない」と謙遜する。(狐塚真子)

日刊工業新聞 2024年01月31日

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