三和HD・文化シヤッター…シャッターメーカーの海外事業が好調な背景
国内シャッターメーカーにおいて、海外事業の存在感が増している。住宅建材・設備機器メーカーが中国の不動産不況や米国の住宅金利高などの影響をマイナスに受ける一方で、シャッター大手2社は円安や近年実施したM&A(合併・買収)がプラスに働き、全体の業績拡大に寄与した。三和ホールディングス(HD)の米国事業は値上げや円安により売上高・営業利益を大きく伸ばした。文化シヤッターは豪州を中心にM&Aを多数実施。2023年度は海外売上高で245億円を見込んでおり、中期経営計画の200億円目標を大幅に上回って達成できそうだ。(田中薫)
三和HD/円安・値上げ効果
三和HDの米国子会社オーバーヘッドドアは近年の鋼材価格上昇に合わせて行った値上げが順調に浸透し、売上高上昇に寄与した。インフレ、住宅金利上昇により住宅用ガレージドアの販売数は減少したものの、鋼材価格が一服した現在も想定より販売価格を維持できたことで営業利益も増加した。米国事業の営業利益で23年度は21年度に比べ3・6倍の300億円を見込む。
高山靖司社長は「米国の住宅需要は24年中に回復に向かう」と予想。原材料の鋼材価格上昇は落ち着いたが、世界的に「物流費や人件費の他、電子部品などは上昇している」と話す。販売価格のコントロールはいっそう慎重に行う必要がある。
情勢不安により需要の低下に苦しんだ欧州市場も、高山社長は「受注は下げ止まった印象」という。回復は「25年以降になるだろう」としばらくは厳しい環境が続くと見ており、早期の需要回復に期待する。
文化シヤッター/豪のM&A奏功
文化シヤッターは22―23年に豪州とニュージーランドで住宅用、産業用製品それぞれのメーカー、販売会社などの買収を集中して行った。18年に住宅向けメーカーを買収して豪州に進出し、現在新築住宅向けガレージドアではトップシェア。今後は豪州東沿岸部・西沿岸部の両方で、住宅・産業用の両輪でシェア拡大を目指していく。
豪州は移民受け入れに積極的で人口が増加しており、若年世帯も多い。嶋村悦典取締役専務執行役員は「潜在的な需要はある」と期待を寄せる。
同社はベトナムにも工場を持ち、豪州の一部の産業向けシートシャッターを製造している。豪州では1月にシャッターの自動生産ラインも稼働するなど、生産機能を強化している。
今後は買収した各企業・工場間で企業文化を統一するとともに、生産や物流での効果的な連携が求められる。集中生産などは効率性を確認しながら検討を進め、営業でも基幹システムの統合を計画している。